パリ徒然草

パリでの暮らし、日本のニュース、時々旅行、アート好き

祭りは終わった

 9月9日重陽節句。パリは雨のち曇りのち雨のち曇り。ああ、もうこれは秋を通り越して冬では、ないか。夫はセーターの上にフェイクレザーの焦げ茶色のジャケットを着ていた。気が滅入る。秋鬱という言葉を調べた。

 9月10日朝。日が差している。ホッとする。でも、天気予報を見ると、今日の最高気温17度。明日以降、最高気温16度、15度…。

 もう秋。これから7ヶ月もの間、曇天が寒さが続くのか。

 

 祭りは終わった。

 

 パラリンピックの閉会式が8日にあって、パリ2024が終わったのだ。

【テレビ画面より。閉会式↑】


 とても不思議な気がした。この寂しさはなんだろう。

 ヘリコプターの旋回音が鳴って、バスが走っていなくて、ああ、今日はパラリンピックのマラソンだったのだ、通勤方法変えなきゃ。

 

 こんな風に日常生活には何かと不便だった。実際に会場にパラリンピック観戦に行ったわけでもない。(ファンゾーンで大画面で観戦したことはあったとしても↓)

   

 それでも、パリ中にのぼりが飾られ、全ての駅のデザインもオリンピックとパラリンピック色に彩られ、街中が祭りだった。

 

 日が暮れた後、気球型聖火台が昇って行くのは合計3回見た。

 パラリンピック閉会式のセレモニーの中で、気球型聖火台の前で、Amadou et Mariam アマドゥ・エ・マリアムによるセルジュ・ゲンズブールの「Je suis venu te dire que je m'en vais(君に別れを告げに来た)」の演奏があったとき、私はテレビで見ていただけなのだけど、ああ、これでさよならなのだ、と寂しい気持ちになった。

 

Amadou et Mariamによる Je suis venu te dire que je m'en vais

https://youtu.be/AQZBM9ocegI?si=fDbdmPK66MLNadJX

 次の私の祭りはなんだろう。11月にMC solaar のコンサートチケットを買っていてほっとした。

 

 そんな私の心の慰めは、最近、再結成が大きくメディアで取り上げられている、イギリスのロックバンドOASISの全てのアルバムをCDで聴くことである。

【写真はパリ2024夏の思い出】

パリ国立ピカソ美術館で過ごす休日 ㊤

 パリ国立ピカソ美術館に9月1日に行った。5月に行って以来、4ヶ月ぶり。

 

 パリ国立ピカソ美術館には約5,000点という膨大なコレクションが収蔵されており、数ヶ月ぶりに行っても、違う展示を見ることができた。

 

 「ピカソのイコノファージ」という展覧会を見た。

上が新古典主義の画家、ジャック=ルイ・ダヴィッド。下がピカソ

 

上がゴヤ、下がピカソでタイトルは「戦争と平和」。

上がゴヤ、下がピカソ。どちらもベラスケスの「ラス・メニーナス」が元になっている。

 この絵はバルセロナにあるピカソ美術館 から来ていた。

 このように、他の画家の絵画と比較しながらピカソの作品を鑑賞できた。

 

 

 そのほかにも初期の写実的作品からキュビスムの作品など見応えあり。

 ピカソの作品、さすが凄い。

 晩年の陶器も素敵!南フランスのヴァロリスでピカソは陶芸に打ち込んでいた。私もヴァロリスを訪れたことがある。

 

 窓の外を見るとテラスのカフェがあった。このテラスのカフェで軽食を取った。

 さすが、美術館のカフェ。食器もおしゃれ。

 中庭を見ながらコーヒータイム。

   貴族の館が美術館になっている。この空間でゆっくり過ごす休日。おすすめー。

 

 次回は、ピカソの2人の子どもの母親であったフランソワーズ・ジローの作品を紹介する。

パリ花公園でクラシックとジャズの野外コンサート

  ヴァンセンヌ城近くのパリ市のパーク・フローラルparc floral(パリ花公園)で行われている夏のコンサートに行ってきた。

 

 一つは8月25日のパリジャズフェスティバル(Paris jazz festival)。演奏してくれた方はサクソフォニストのジャンヌ・ミシャー(Jeanne Michard)さんと latin quintet。ピアノ、コントラバス、パーカッション2人の計5人。

 ジャズとキューバ音楽の融合という感じでとても良かった 。オリジナルのアルバムも出しているグループで、心に残る美しいメロディー。ところどころ、ブエナ・ビスタ・ソシアルクラブを思い出させてくれた。

 

 これを緑を見ながら聴けるって贅沢ー。半袖だと寒いくらいのパリ。満席で立ち見もいた。

 

 もう一つは9月1日のクラシックのコンサート。

 パリ室内管弦楽団によるモーツァルト交響曲、バッハ、ベートーヴェンの協奏曲。約40人ものオーケストラの演奏は迫力がある。

 特にベートーヴェンの協奏曲は、ピアノと指揮のダヴィット・フライ(David Fray)さんがダイナミックな指揮の直後に優しいピアノの音色を響かせ、見てても全く飽きない。

 ただし、午後4時開始のところ、午後3時に入口のチケット購入に並んだら、すでにもう満席で立ち見、約2時間立って鑑賞するのは辛かった。途中、外に出て芝生に座って音楽だけ聴いたりもできた。

 6月26日から始まり、9月8日まで開催されているparc floralのフェスティバル。25の様々なミュージシャンが演奏するコンサートを野外で聴ける。公園への入場料2.6ユーロを払って入場すれば、鑑賞は無料。緑と太陽の中で生演奏が楽しめる。週末または水曜日に開かれている。

 そしてもちろん、花公園というだけあって、季節の花も楽しめる。

 

フェスティバルの詳しいサイト

https://festivalsduparcfloral.paris/programmation/

パラリンピック開幕

 28日夜、パリのシャンゼリゼ通りやコンコルド広場等でパラリンピックの開会式があって、テレビ放映された映像を見た。

 私の住んでいるアパートでもヘリコプターの旋回音や飛行機の音が聞こえ、窓を開けたら、トリコロールカラーの煙が見えた。

 

 私たち夫婦は、どちらも仕事の後だったので、現地に見に行く元気はなかったのだが、一部無料で見れたらしい。

 

 テレビで見ながら、コンコルド広場のオベリスク、こんな風に光のショーの主役になれるのね、と感慨深かった。

 

  ダンスや Lucy love さんの曲とパフォーマンスが素晴らしかった。代表曲「Masculinity」を再解釈し、「My Ability」として発表した。

 

Lucy love さんらのパフォーマンス

https://youtu.be/H7_Y2dqLDAc?si=0IrB_fZfPvhmcsO_

 

 選手たちの入場行進に合わせて、St Germain(サンジェルマン)というフランスのグループの音楽が鳴った。私も夫も独身時代にこのグループのCD「Tourist」を買って、家には2枚CDがある。

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 パレードはアフガニスタンから始まった。衣装と言い、顔つきと言い、少数精鋭であることと言い、印象に残った。

 

 70番目過ぎに日本が登場。思わず、写真を撮る。

 

 後半にはモーリス・ラヴェルボレロに合わせて、炎を持ったダンサーたちのダンス。パリ郊外のモンフォール・ラモーリーのラヴェルの家を見学したことを思い出しながら見た。あの家でボレロも作曲されたと聞いた。炎のダンスにボレロ、ぴったりだなあ。

 

 聖火は、たくさんのメダリストに手渡され、最後、5人のメダリストによって気球型聖火台に灯され、   パリ上空に舞い上がった。

 

 翌朝、コンコルド広場での数々の思い出が蘇った。

 

 もう30年以上前にバイクの後ろに乗せてもらって、夜にコンコルド広場を走り回ったこと(ああ、夜のパリの美しさよ!)や7年前、両親がパリに来たとき、シャンゼリゼ通りのホテルからパレ・ロワイヤルのホテルに移動したとき、コンコルド広場付近でタクシーが渋滞に巻き込まれてイライラしていたあの瞬間など。

 

 コンコルド広場とは、私の中では車道だった。歩行者でいるときは、渡るのが難しい車道だった。

 

2022年秋のコンコルド広場、チュイルリー公園

https://clairefr.hatenadiary.com/entry/2022/10/17/03322

 

2021年ホテル・ドゥ・ラ・マリーヌから見るコンコルド広場

https://clairefr.hatenadiary.com/entry/2021/09/20/051749!

 

 あの場所があんな風に変わるなんて!!!。芸術監督トマ・ジョリーさん初め、ダンサーや全ての出演者、関係者に大きな拍手を送りたい。

 

Lucky  loveさんについてのル・モンドの記事 

https://www.lemonde.fr/en/m-le-mag/article/2024/08/29/lucky-love-i-m-familiar-with-rejection-i-m-not-afraid-of-it-i-m-an-artist-i-sing_6723148_117.html

ドナウ川に行った ウイーン⑥

 夫がドナウ川に行きたい、と言った。

 

 ほお、ドナウ川?

 

 私は「地球の歩き方」とJTB関連のガイドブックを持っていたが、ドナウ川についての記述はなかった。

 

 適当な地下鉄の駅で降りて探すことにした。

 

 地下鉄1号線のVorgartenstraßeで降りた。川は全然見えなかった。てくてくと川方向に歩くと川が見えてきて、橋につながる。このライヒス橋を渡る。

 進行方向左手はコンクリートで何も見えない。川岸に大きな教会が見えた。後で調べたら、Katholische Kirche St. Franziskus von Assisi(アッシジの聖フランチェスコ教会)↓という名前だそうだ。

 進行方向右手だけが川を見下ろすことができた。大きな船が停泊していた。

 橋を歩き続けると細長い島に到着した。ドナウ島と言う。ここにDonauinselという降りた駅の次の地下鉄駅があった。一駅歩いたのだ。往復しなくて済みそうでほっとした。

 

 ドナウ川で、泳いでいる人もいた。島はピクニックしている人々で賑わっていた。

 ドナウ島の対岸に大きな近代的ビルやタワー↓が見えた。

 フォルクスシアターという駅近くのホテル周辺ばかりいたため、このような近代的ビルをあまり見ていなかったのだが、これもまたウイーンの一面なのだ。

ウイーン伝統3大料理 どれも美味しい ウイーン⑤

 ウィーン伝統料理の3大定番といえば、

“Wiener Schnitzel(ウィンナー・シュニッツェル)”

“Tafelspitz(ターフェルシュピッツ)”

“Gulasch(グラーシュ)”

と言われている。

 

 ウィンナー・シュニッツェルは日本で言うカツレツ。3回食べた。だけど、着いた当日並んで待った超有名店に、15分待ったが、最後の最後で待ちきれず、他に行ってしまった。

 

 そのせいもあるのか、個人的には、ドイツのハイデルベルクで食べたシュニッツェルの方が美味しかった。ドイツのシュニッツェルはソースにバリエーションがあったが、ウィーンのシュニッツェルには、そのバリエーションがなく、塩コショウ味にレモンが添えてあるだけのものしか、私が行ったレストランでは見かけなかった。

 お肉は仔牛や豚肉、鶏肉も見かけた。

 と書きつつも、毎回完食している。ははは。。。さらに、3回も食べるくらいに好きですよね。ははは。。。

 

 ターフェルシュピッツは、私にとっては結構な、お値段する一皿。28ユーロくらいはした。1回しか食べなかった。

 

 ターフェルシュピッツ↑は、牛肉を煮込んで作るオーストリア料理、およびその料理に使う牛肉の部位。ターフェルシュピッツは皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の好物として知られている。

 

 牛肉の部位としては尻と太腿の辺り。塊状の牛肉を、人参・玉ねぎ・セロリ・パースニップ・長ねぎなどの野菜や、ローリエ・粒コショウなどの香辛料とともにブイヨンで長時間煮込んで作られる。

 

 鍋から皿によそい、アプフェルクレン(すりおろしたリンゴとホースラディッシュのソース)やほうれん草のソースや炒めたじゃがいも等の野菜が添えられることもある。

 

 お肉が柔らかくて美味しい。けど、何度も食べようとは思えなかった。

 

 そんな中、美味しさに目覚めたのがグラーシュ。2回いただいた。

 

 グーラッシュは、ハンガリーから伝わった牛肉入りシチュー。

 

 1回目は、シュテファン大聖堂近くのLUGEKというお店。

 

 もう一回はホテル近くのレストラン。

 この3大料理以外で食べたのは、濃厚なビーフコンソメスープに、クレープ生地を細切りにしてパスタのようにスープと一緒にいただくFrittaten suppe:フリタッテン ズッペ↓。

 さらに、ウイーン風ハンバーグもいただいた。

 どれも美味しくて毎回完食。サービスもいい。ワインも美味しい。お値段はパリと同じくらい。私たちが食べたレストラン、一番安くて2人で36ユーロ、一番高くて90ユーロほど。

 

ドイツで食べたシュニッツェル

https://clairefr.hatenadiary.com/entry/2023/09/09/172754

 

ザッハーでザッハートルテとソーセージを食べた ウイーン④

 Sacherと書いて、ザッハーと読む。

 

 Sacherは、ザッハートルテ発祥の店。高級ホテルでも、ある。1832年、当時16歳のフランツ・ザッハーがザッハートルテを考案した。ちなみにトルテはケーキのこと。

 私は並んで待つのが大嫌いだ。太陽がサンサンと降り注ぐ中、約15分も列に並んでカフェ Sacherに入店するまで待った。でも並んで待ったことを後悔しなかった。

 

 深紅と純白と金色で統一された優雅な店内。メイドのような服装を着たサービス係。店内に流れるクラシック音楽。まるで宮殿の一角のよう。客のTシャツ姿が恥ずかしくなるほどだ。

 

 素敵な席に案内された。

 

 お昼時だったので、まずは軽食を頼むことにした。

 

 ソーセージ、グラーシュソースかけというメニューがあったので、それを注文した。前夜に食べたグーラシュ(牛肉のシチュー)が美味しかったので、ソースだけでも味わおうと思った。食事を頼んだ私たちの席だけ、白いテーブルクロスがかけられた。こういう演出も心憎い。

 ソーセージ、グラーシュソースがけ、とても、美味しゅうございました。満足ー。ソースが堪らなく美味しくてパンにつけて食べまくった。

 夫はサラダを頼んでいた。

 この空間にクラシック音楽。ゆったりと流れる時間。

 この後、冒頭でも写真を載せた、ザッハートルテを食べた。食べた時はジャンポール・エヴァンのチョコレートケーキに似てるかもと思い、そこまで感動もなく、アプリコットジャムが挟まっているのだが、それにも気づかず、パクパクパクパク完食してしまったのだが、パリに帰ってからの欠乏感が凄い。

 ヤバい、ここのザッハートルテがパリで食べたくなる。ないので昨日は、ピエール・エルメのチョコレートケーキを買って食べた。美味しいけどどこか違う。今日はEric Kayser にチョコレートケーキを買いに行こうと思っている。

 

 

 似たような味を求めて、パリ中を走り回る。そのくらい中毒性のあるケーキだった。恐るべし、ザッハー。