パリ徒然草

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バターを泡立てる幸せ コルドンブルーのサブレ

 時間はたっぷりある。やってみたかったことで、やれることをやろう。ずっと作ってみたいお菓子があった。コルドンブルーのレシピのサブレ、ディアモン(意味はダイアモンド)。日本から持ってきた多田千香子さんのエッセイ本「パリ 砂糖漬けの日々 ル・コルドン・ブルーで学んで」の103ページにそのレシピはある。

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 材料は、バター200グラム、薄力粉270グラム、砂糖90グラム、すりおろしたオレンジの皮一個分、バニラビーンズ一さや、塩二つまみ、卵黄一個分、グラニュー糖適当。

 本来のレシピはぜひ、イラストもたっぷりのその本で読んでいただきたいが、私の場合はボールに入れたバターをレンジでやわらかく溶かし、泡だて器で混ぜ、砂糖を入れ、泡だて器で混ぜ、オレンジの皮、バニラビーンズの代わりにバニラエッセンス、塩、卵黄を加えて、さらに泡だて器で混ぜた。薄力粉を加えて、しゃもじで切るように混ぜた。素晴らしいことにボール一つでOKなお菓子だ。

 できた生地をラップでくるんで、冷蔵庫で30分ねかせる。直径三センチメートルの筒状に延ばし、グラニュー糖を筒全体にまぶして、一センチの厚さに切って、天パンに並べ、160度のオーブンで15分焼く。

 子供のころしばしばアイスボックスクッキーを作った。カトルカールと呼ばれるバターケーキも良く作った。おこづかいから安いバターを買っていた。今日はフランス産のバター200グラム、大胆に使っている。バターを泡立てる瞬間、驚くほどの幸せに包まれた。子供のころの記憶が蘇った。お菓子作りをしたことがない人は分からないと思うが、バターは混ぜていけば白く泡立つ。砂糖を加えるとさらに角が立つ。滑らかな生地のクリーム色とバターの香り。なぜ、バターを泡立てることそのものがこんなに大きな喜びをくれるんだろう。

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 3回に分けてオーブンで焼くことになった。焼きながら、久々に読んだ、そのエッセイにはまった。えーっと、著者はパリで買ったアパート、帰るときはいくらで売ったんだっけ?  つい、三回目のクッキーの焼き加減を注意して見るのを忘れた。三回目は真っ黒焦げのサブレになった。


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 サブレは思っていた以上に素朴な味だった。このサブレをコルドンブルーにする秘訣は私が入れなかったバニラビーンズにある気がする。今はそのバターたっぷりのサブレを食べすぎて、太りそうだという罪悪感がある。

 

 フランスのスーパーでコンフィヌモン(外出制限令)後、売れた物の中に、小麦粉がある。バターもときどき品薄になっていた。お菓子作りする人が増えたのだろう、と誰かが話していた。私も、最近、キャラメルアップルパイ、ホットケーキを作った。部屋が狭く室内で運動するのは難しい。お菓子作りはほどほどにしないと、コンフィヌモンが終ったとき、大変なことになりそうだ。

 

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