パリ徒然草

パリでの暮らし、日本のニュース、時々旅行、アート好き

前と同じままか、少し悪化した世界

 7月4日土曜日午後。少し歩いた。

 路上には、たくさんの人。自転車、徒歩、トロチネット、スケート。車が制限され、新型コロナウイルスは健在だというのに、人と人が接しやすい乗り物で移動する人が増えた気がする。

 7,8人の男性ばかりの集団で公園や路上に、話をしながら、とどまっているアフリカ人が何組かいる。
 公園で15人くらいの男性ばかりの集団で異国の言葉で真剣に話している中東(?)の人もいる。
 公園には、家族連れ、友達同士など、たくさんのピクニックする人。人種もさまざま。穏やかな世界。マスクしている人は10%程度だろうか。

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【コロナ以前と同じように人がたくさんの公園】

 道路を歩いていたら、警察の車が何台も止まっている。車の中の人たちは防弾チョッキなど着てて完全防備。道路に警察の車以外がいなくなった。何だろう。

 そう思いながら進むと、たくさんの警察官の行進の後、LGBTIQ(性的少数者)のパレードだった。中には上半身裸で、おっぱいが見えている人もいる。

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【LGBTIQのパレード】

 これがパリの日常だ。パリに日常が戻って来た。
 
 他のパリ在住日本人ブロガーさんが、パリで物乞いに声をかけられる回数が増えたと書いていた。フランスは日本のように一律10万円配らないから、お金がもらえない人もいる、と。物乞いが増えた、と感じている人は私だけではないようでホッとした。(勝手に私の思い込みで、パリに悪いイメージを与えちゃ悪いので他にもそう感じている人がいると知れるのは大事だ)

 最近だと、「スポーツ選手の方ですか?」と話しかけられたこともあった。ナンパなのか、物乞いなのか。見極めるのも難しかったりする。

 まあ、でも、それがパリで生きるってことだよな、次はどうウイット富んだ言葉で返そう?。
 
 フランスの作家、ミッシェル ウェルベックが外出制限中に言った言葉を思い出した。

https://www.francetvinfo.fr/sante/maladie/coronavirus/coronavirus-pour-michel-houellebecq-le-monde-d-apres-sera-le-meme-en-un-peu-pire_3948117.html

"nous ne nous réveillerons pas, après le confinement, dans un nouveau monde; ce sera le même, en un peu pire."
「わたしたちは外出制限が解かれたあと、新しい世界で目覚めるわけではない。世界は、以前と同じままか、少し悪化しているだけだろう」

 ああ、やっとウェルベックの言う前と同じか少し悪化した世界にいる。私の場合、そう思えるまでに外出制限解除の日から55日もかかってしまった。

 悪化した面もある。

 ゴミが舞っていて衛生状態の悪化という悪化。いや、これは前と同じかもしれない。

 経済悪化という悪化。でも、経済の悪化は人々の暮らしに繋がり、心の不安定や犯罪率の増加、にもつながっていく。

 まあ、でも、今のところ、そんなには悪くない。
外にいる人たちも、穏やかに過ごしている。以前と同じようにデモもしている。閉じこもらずに、今を生きている。