パリにいると、日本にいるよりはずっとエルサレムを身近に感じる。エルサレムはここから、交通費往復250ユーロ程度、3万円程度で行けるのだ。
12月11日にモンマルトルに登ったとき、サクレクール寺院の周りに聖墳墓教会にまつわる写真の展示があった。聖墳墓教会は、エルサレム旧市街(東エルサレム)にあるキリストの墓とされる場所に建つ教会。ローマ・カトリックのフランシスコ会が番人を努めていて800年以上の歴史がある。この教会は聖書上の出来事にちなんだ礼拝堂が集まっているため、ギリシャ正教、アルメニア使徒教会など各派もともに管理している。
一方、2-3ヶ月前、フランスの国営放送のニュースで、南アフリカでDJ /音楽プロデューサーMaster KGのジェルサレマ”Jerusalema“という曲がヒットし、その曲に合わせて踊る一般人のダンスがYouTubeにアップされ大流行している、という話題があった。曲名にもある”Jerusalema“は、聖地エルサレムに連れて行ってくれるようにとの神への祈りが込められているという。
たくさんジェルサレマのダンスの動画がある。私が気に入ったダンスチーム
カトリックの教会には、クリスマス前後の時期になると、イエス・キリストの降誕場面を教会堂の内部または外部にミニアチュアの模型として飾る習慣がある。例年大きな模型の展示をしていたノートルダム寺院が現在、見られないのは残念だが、今年もいくつかの教会にあった。新約聖書ではイエスが誕生したのは、エルサレムから南に10キロのベツレヘムとされている。
【パリのカトリック教会に飾られた降誕場面】
とにかくエルサレムは聖地だ、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教の聖地だ、
歴史があるところだ、一生に一度は行くべきだー。日本で働いていたとき、エルサレムに行ったことのある同僚が力説していた。何年も前の話なのに、それを語った人との交流はとっくに途切れているのに、その人のアドバイスが心に残っている。
いつか行こうと思って、エルサレム旅行記やYouTubeの動画に触れたり、イスラエル在住の日本人のブログをフォローして読んでいたりする。
2020年3月以降、新型コロナウイルスのために私はフランスだけに留まっていた。何もなければイタリアとドイツくらいは行っていたことだろう。あるいは日本に帰国したかもしれない。
簡単に行けなくなったことによって、これまでに行ったイタリアのシチリア島、チンクエテッレやスペインのアルハンブラ宮殿などでの体験の価値が倍増した気がした。その地に身を置くことは、どんなに情報技術が発達しても画像で見るのと同じではない。
2020年を振り返ると、私は以前より宗教について聖書について多少は考え、知識として知ることとなった。新型コロナのロックダウンのおかげで、Youtubeやネットのおかげで、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教そして聖書を以前よりは多少知るようになった。
【パリにあるイスラム教のモスク】
YouTubeをいくつか聞いた後、日本・ユダヤ比較文化研究家の坂東誠さんの著作を何冊か読む機会もあり、神道とユダヤ教の類似について知る機会もあった。日本語で教科書のガイドブックや秘伝書のことを「虎の巻」というが、これはユダヤ教のトラーの巻物から来ているかもというのである。神輿と「契約の箱」の類似や「塩を用いた清め」の類似も心に残った。
2020年ほど宗教について考えさせられた年はなかった。
私の知識はまだまだ発展途上だけれど、世界には知らないことがまだまだたくさんあって、これから、もっと知って行きたいし、行きたい場所もまだたくさん残っている。
年越しそばを食べながら。フランス時間午後10時15分
"聖墳墓教会 - Wikipedia" https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E8%81%96%E5%A2%B3%E5%A2%93%E6%95%99%E4%BC%9A