ふらんすへ行きたしと思へども…
そんなフレーズを書いた詩人がいましたね。
「日本に帰りたしと思えども…」
今は在仏日本人にとっても、そんな状況ではないでしょうか。
「日本を旅したしと思えども....」
日本国籍以外の外国人にとっては、すなわちフランス人にとっても、新型コロナの影響で日本を旅行できない! ので、そういう心境の人もいるようですね。
最初のフレーズは、上記の2つのどちらかに変えるか選んでいただくとして、萩原朔太郎の名文を替え歌にしてみました。
「日本はあまりに遠し。
せめては、美しき駅弁を食べて、
きままなる旅に出る夢を見てみん」
朔太郎の時代と違うのは、日本の駅弁がパリで食べられることです。
こちらがパリの駅弁。包み紙が日本でしょう? 包むという日本の文化を感じます。黒い箱もしっかりしていて素敵です。
レストランが食事だけを売っていないように、テイクアウトもまた、食事だけ売っていないのだ、と、その演出に感激しました。
包み紙の裏には、フランス語で、駅弁とは何か、を説明し、このお弁当を作ってくださっている会社「花善」(秋田県大館市)の歴史を紹介し、秋田地域の比内地鶏やアキタコマチについても触れていました。花善は1899年、大館駅開業に伴い始まった会社だそう。歴史がありますねー。
食べる前のワクワク、食べる前から日本を感じられるのが素敵! です。
パリのお店は「1899 ToriMéshi」。モンマルトルのふもとの地下鉄Anvers(アンベール、2番線)から少し下った場所にあります。晴れて温かい日なら、モンマルトルの公園で食べるのもいいのかも。
鶏めし弁当と日替わり弁当の2種類がありますが、いただいたのは、鶏めし弁当。ちょっと甘めの味付けです。ご飯が甘いです。日本の味。久しぶりに日本のしっかり肉厚なシイタケ(どんこだと思う)をいただきました(フランスの八百屋やビオの店で買うシイタケばかり食べていたのです)。作ってくださっている方も日本人のようでした。嬉しいですね。
お店のチラシやパンフレットをいただいてきました。
花善の会社案内パンフレットですが、地図や観光地の紹介もあって秋田の観光パンフレットのようで旅情を誘います。秋田の温泉いいだろうなあ、夢が膨らみます。フランスにある日本食の飲食店は、民間大使のようです。
【会社案内パンフレットの一部。観光案内の側面もあります。上に置いたフランス語が書いてある紙がお弁当の包み紙の裏】
頑張れ、飲食店。新型コロナでレストランが閉まる中、せめては持ち帰りを食べて、応援してみん、と思ったのでした。
1899 ToriMéshi
34 Rue Condorcet 75009
テイクアウト :土日祝日休み 11h30-15h30
(一度15時過ぎに行ったら、売り切れていたことが、ありました。遅い時間は電話確認がお薦めです)