パリ徒然草

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昨年3月のボルドー 穏やかな春と私の緊張感

 昨年3月、私はフランス南西部の大西洋の近くの街ボルドーにいた。イタリアカプリ島行きを予定していたが、新型コロナの影響で、行けなくなり、急遽代わりに出発の数日前に選んだのがボルドーだった。

 

 3月13日に出発した。そして3月17日からフランスはロックダウンになった。

 

 急に決めたので、目的も特になく、それが何か分からないまま見上げたり、のんびり過ごしたが、今考えれば、貴重な時間となった。何しろその頃はレストランにも美術館にも行けたのだから(フランスは昨年10月からその両方が閉まっている)。今のように午後6時からの夜間外出禁止令もなかったのだから。
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 上の写真と下の2枚の写真は、ボルドーのアーケード、ギャラリー ボルドレーズ(Galerie Bordelaise)。
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https://fr.m.wikipedia.org/wiki/Galerie_Bordelaise


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 こちらはボルドー唯一のローマ時代の遺跡Plais Gallien(パレ ガリヤン)。住宅街の中に、いきなり現れた。

https://fr.m.wikipedia.org/wiki/Palais_Gallien
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【ジロンドの記念碑Monument aux Girondins】

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【泊まったアパート付近の通り】


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ボルドー中心部】

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ガロンヌ川にかかるピエール橋】
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ガロンヌ川沿いの桜がほころび初めていた】
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【大時計Grosse Cloche】

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【宿泊したアパート】

 

 市庁舎に接したボルドー美術館に行った。私が見学した日の翌日、美術館は、新型コロナの影響で閉館した。

 見学した日も、工事中で一部のスペースしか開いていなかったが、たくさんの作品が展示されていた。私は、その日、海の荒波の中にいる絵画に惹かれた。


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 毎回同じ絵画に惹かれるわけではないと思う。

 同じ海でも、アルベール•マルケの描く海(下の3枚の絵)は、セーヌ川と同じように穏やかだ。


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 落ち着かない旅だった。

 

 マスクしろ、とフランス政府が言っていない時期だったが、日本の情報から、私と夫は往復とも、マスクしていた。私たちを乗客たちがギョッとした目で見た。

 

 私はボルドーで何を見ただろう。カヌレも食べ比べしたし、美術館にも入場できたのに、フランス政府の発表が気になって、心ここにあらずだった。

 

 旅行中、毎晩、テレビに釘付けだった。マクロン大統領が旅行しないよう、テレビで呼びかけていた。いやいや、旅行中の場合、どうすればいいのだ?。パニックになった。翌日行く予定のサンテミリオン行きの列車のチケットを払い戻してもらった。一刻も早く帰るしかない。そんな緊張感があった。

 

 

 だから、今、写真を見て、そこがどこだったか、いくつか調べた。写真の中のボルドーは、とても穏やかで春が来ていた。

 

 TGVがなかなか現れず心配しながら待ったボルドー駅。ボルドー駅発パリ行きのTGVの出発が遅れに遅れて、心配した。駅員も、SF映画にでも出てきそうな大きなマスクをして凄くピリピリしていた。

 

 今、写真で見ると、静謐で、とても美しい。


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ボルドー駅待合室】

 

 今日、そのとき撮った写真を見ながら、旅とはなんだろう、と考える。あー、しまった。あのときはもったいないことをした。もっと落ち着いてじっくり見れば良かった、とも思う。

 

 まあ、そんなものだ。そんな状況の旅でも、自分が撮った写真と思い出は残り、行く前よりもずっとボルドーを身近に感じる。