パリ徒然草

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ハクスリーとローレンス二人の作家の交流を知る 南仏の海辺リゾートホテルで「すばらしい新世界」を想う

 宿の選択は、旅の印象をがらりと変える。私たちは最も高くて100ユーロ程度のホテルやレジデンスしか泊まらないし、平均して一泊70ユーロ程度のホテルに泊まっている。

 Bandol(バンドル)というプロヴァンスの海辺のリゾート地で、レジデンス ボーリバージュという宿に泊まった。booking comというサイトで63ユーロとその町では最も安かったのが理由だった。

 そのレジデンスが予想以上に素晴らしかった。

 レジデンスで部屋にはキッチンもあるのだが、フロントもあって、荷物も預かってもらえ、対応してくれる人も感じがよくプロフェッショナルだった。

 海が見える丘の庭にハンモックや椅子が並べられ、そこでくつろぐこともできる。サロンには音楽が流れている。ヴァカンスの気分が溢れている。

 



 そのレジデンスの歴史が書かれたパンレットがあって、その中に、デーヴィッド・ハーバート・リチャーズ・ローレンス(David Herbert Richards Lawrence, 1885年- 1930年、小説「チャタレイ夫人の恋人」で知られる)とオルダス・ハクスリー(Aldous Huxley, 1894-1963年)二人の英国人作家の交流が書かれていた。ハクスリーはこのレジデンスのオーナーの勧めもあってバンドルに家を買い、あの有名なSF小説すばらしい新世界」は、1931年5月から8月、南仏のこの地域で書かれたというのである!。


【レジデンスのパンフレットより。写真はハクスリーとローレンス】

 数十年前に大学生で読んでいた小説「すばらしい新世界」を思い出した。あのディストピア小説は、こんなに素晴らしい海の見える場所で書かれていたのだ。

 フロントの横に、プレートがあってここで、作家ローレンスが1928年11月から1929年3月に泊まったと書いてある。

 お部屋はこんな感じ。窓から海も、見えた。