パリ徒然草

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ギャラリー・ペロタンでJRの「Dans la Lumière」展

  パリに住む幸運のひとつは、アートギャラリー巡りができることかもしれない。ふらりと訪れたギャラリーで、心に訴える作品に出合えることがある。美術館という大きな要塞のような建物まで行かなくとも、例えば、パリのマレ地区等には、買い物のついでの通り沿いの大きなガラス窓の向こうにアートがある。

 6月のある日、ギャラリーのひとつ、マレ地区のギャラリー・ペロタン(Perrotin - Galerie )に行った。

 ペロタンは、通り沿いではなく、貴族の館のような、建物の中にある。

 この日は目的があってやってきた。JRの展覧会を見るためだ。JRと言っても、日本人におなじみのJR東日本とか、そういう話ではない。

 JRは1983年生まれのフランス人アーティストで、アートと社会活動を組み合わせた作品を発表している。彼の作品はしばしば、壮大な方法で公共空間を占拠することで知られている。 私はアニエス・ヴァルダ監督とのロード・ムービー風ドキュメンタリー「顔たち、ところどころ」(2017年)でJRを知った。

 

 JRが6月7日から今月27日までギャルリー・ペロタンで「Dans la Lumière」展を開催中している。Dans la Lumièreは直訳すると、「光の中で」。2023年11月にパリ・オペラ座ファサードで行われた153人のダンサーのバレエ「CHIROPTERA」プロジェクトに関連する作品が展示されていた↓。

 このプロジェクトで音楽を担当した元ダフト・パンクのトーマ・バンガルテルも、6月7日から15日まですぐそばのエスパス・サンクロードでサウンドインスタレーション↓を発表し、JRとコラボレーションしていた。会場には、トーマ・バンガルテルによる音楽が流れている。

 2023年秋、JRはオペラ・ガルニエのファサードに「Retour à la caverne」プロジェクトを制作した。足場があることを利用して、だまし絵のような石の洞窟を作り、振付師のダミアン・ジャレとトーマ・バンガルテルとのコラボレーション・バレエ「CHIROPTERA」を発表した。

 

 この展覧会では、「CHIROPTERA」プロジェクトのさまざまな瞬間を再現した写真や作品が展示されている。木に墨、木炭といったいくつかの技法の融合も試みている。

 私は「CHIROPTERA」を鑑賞したときの感動を思い出しながら、この展示を見た。JRのまとまった作品を観るのは初めてで、観れて良かったと思った。こういうものをふらりと立ち寄って無料で見れてしまうのがパリにいる醍醐味だと思う。ギャラリーの窓の外の緑や光、白いドアや壁とJRの作品がコラボして、今、ここでしか見れない空間を創り出している、とも、思った。

 

 ビデオ上映もあって、大画面で「CHIROPTERA」のビデオ映像を観ることができた。JRの話を交えたこのプロジェクトが完成していくまでのドキュメンタリービデオも興味深かった。

ビデオの一場面↑

ギャラリー・ペロタンの入口↑↓

 

 

2023年11月12日の私が見た「CHIROPTERA」

https://clairefr.hatenadiary.com/entry/2023/11/27/035553