ヌーヴェル・ヴァーグを代表する映画監督であり、美術家としても活躍したアニエス・ヴァルダ。2019年に亡くなったアニエス・ヴァルダに敬意を表し、2023年10月11日から2024年1月28日までパリのシネマテークは、「VIVA VARDA!」と称した大規模な回顧展を開催している。
【シネマテークの建物の壁面にヴァルダ】
1955年に『ラ・ポワント・クールト』で長編デビューを果たすと、同作を皮切りに、65年に『幸福』で第15回ベルリン国際映画祭銀熊賞、85年に『冬の旅』で第42回ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を受賞。セザール賞、アカデミー賞名誉賞、カンヌ国際映画祭名誉パルム・ドールを受賞。
展覧会では、このアーティストの生涯と70年にわたる創作活動をたどる約250点のオブジェや写真等が一堂に会している。アニエス・ヴァルダ自身が撮影した未公開の写真、映画の抜粋、資料、アーカイブ、映画ポスター、絵画、衣装、ビデオインスタレーション、映画監督の個人コレクションからのオブジェやアクセサリーも含まれる。
ヌーヴェルヴァーグの先駆者、偉大な旅人、自立した女性、写真家、社会の変化に敏感な芸術家としても知られるヴァルダ。ヴァルダの短編および長編映画は、ユニークでユーモアのある彼女の感性とともに、フェミニズム、社会から疎外された人々、恵まれない人々.に光を当ててきた。
私が初めて見たヴァルダの作品は、ドキュメンタリー映画「落ち穂拾い」だった。
ヴァルダの「落穂拾い」コレクション↑。この映画にちなんだハート型のじゃがいもの写真↓。
遺作となった『顔たち、ところどころ』(Visages Villages、2017年)が好きだ。アニエス・ヴァルダとJR監督による2017年のフランスのドキュメンタリー映画。
この映画にちなんだアート作品のジオラマ↑や写真を組み合わせた作品↓も面白かった。
印象深かったのは、ヴァルダのエコール ド ルーヴルの学生証をもが展示されていたこと。処女作『ラ・ポワント・クールト』で見せた各画面の構図の素晴らしさは、こうした美術への学びと無関係ではないのだろう、と考えた。
映画監督になる前の写真の作品も楽しかった。
猫好きだったヴァルダの猫のコレクションも↓。
夫は、同じく映画監督の故ジャック・ドゥミ。ヴァルダは「ジャック・ドゥミの少年期」↑という映画も制作した。
いろんな切り口で楽しめる展覧会。
私自身は、まだ、見ていないヴァルダの映画作品をじっくり見ていこうと心新たにした展覧会でもあった。
展覧会を見終えて階段を下ると、このイラスト。つい、グッズ売り場でこのイラストのバッジを買ってしまった。
『顔たち、ところどころ』(Visages Villages)を見た