モンマルトルの裏手が秋色に色付いていた。
今の時期ならではの色。
この写真を撮ったのは、午後から雨を予報された日曜午前。写真にはないけれど、道は人で溢れていた。
歩いていると、不意に亡くなった父を思い出した。モンマルトルに来たいと言ったのだが、既にあまり体調の良くなかった父を、この坂の多い地域にどうしても連れてくることができなかった。
父はテルトル広場で油絵を買いたい、と言ってたな、と思い出して、長い時間いろんな絵を見て凱旋門が描かれた油絵を買った。凱旋門近くのホテルに泊まっていたし、一緒にシャンゼリゼの中華料理店で食事もしたから凱旋門がパリでも一番思い出がある気がして数ある油絵の中からそれを選んだ。
きっと選んでいる時間だけでも一緒にいるような気持ちになりたかったのだろう。生きているうちに、送ってあげるべきだったのだけれど。