もし、あなたがパリ在住で今後、ロシアに行く予定がないのなら、今開催中のモロゾフ・コレクション展を見逃さないでほしい。パリのルイ・ヴィトン財団で、ロシア人収集家、モロゾフ兄弟が収集した作品約200点を紹介するモロゾフ・コレクション展を開催中。このコレクションのロシア国外でのお披露目は初めて。2022年4月3日まで(当初より延長された)。
本展では、ミハイル・アブラモビッチ・モロゾフ(1870-1903)とイワン・アブラモビッチ・モロゾフ(1871-1921)兄弟が収集した、フランスとロシアの有名な現代芸術家が紹介されている。
【Valentin Sérov、イワン・モロゾフ氏の肖像】
マティス、ボナール、ピカソ、ゴーギャン、ヴァン・ゴッホ、ドガ、モネ、ルノワール、モーリス・ドニ、セザンヌ、マレーヴィチなどの傑作揃い。
2016年ー2017年にルイ・ヴィトン財団では「シチューキン・コレクション展」が開かれ、私も行った。それに続く20世紀初めの偉大なロシア人収集家たちに光を当てた展覧会。
見応えあり。3時間以上は時間を取って行った方がいいと思う。私は2時間余りで鑑賞。たくさん作品があるので、全部をじっくり見た気がしなかった。
たくさん作品があるので印象に残った作品を画家ごとに独断で紹介。
ポール•ゴーギャン
ゴーギャンの作品は10点あり、どれも素晴らしかった。
『キャピュシーヌ大通り』
ウィキペディアによると、モネは、1873年、パリのキャピュシーヌ大通り35番地にある写真家ナダールのスタジオの窓から、大通りの喧騒を観察した。ナダールは、この年、キャピュシーヌ大通りからアンジュー街にスタジオを移しており、モネは、ナダールの許可を得て旧スタジオを借り受けて『キャピュシーヌ大通り』を制作した。
1874年4月15日から、モネを中心とする画家たちが設立した画家、彫刻家、版画家等の芸術家の共同出資会社が、キャピュシーヌ大通り35番地のアトリエで「第1回展覧会」を開催した。後に「第1回印象派展」と呼ばれることになる展覧会である。
モネは、この第1回印象派展に、『印象・日の出』など他の作品とともに、『キャピュシーヌ大通り』を出品した。もっとも、『キャピュシーヌ大通り』は2作あり、どちらの作品が展示されたかは論争がある。
上の2つの作品(いずれも1876年)、当日聞いたガイドによる説明によると、実業家で美術コレクターのエルネスト・オシュデの注文によってモネが描いた作品だそう。オシュデ家の食堂に飾られる予定で描かれた。しかし、オシュデの経営が難しくなり、モロゾフ氏が買ってくれた。モネも当時は貧しかっただけに、ロシア人収集家のモロゾフ氏がモネの画家人生を助けてくれたんだなあと感慨深く見た。ちなみにオシュデの妻とモネは後に再婚している。
この絵画の中には、オシュデの妻、アリスの姿が樹々の影に描かれている。(ガイドの説明より)
この展覧会では、会場にガイドがいて絵画の説明(フランス語)をしてくれるのが嬉しい。
ピエール•ボナール
たくさんの作品があり、大作も多かった。
大作の一部を切り取ってみた。
可愛いなあ。
明るい色の作品が多い。元気が出るー。
服を着た女性や少女が描かれた作品ばかり数点あった。この女性がとても、可愛い。
『女優ジャンヌ・サマリーの肖像』あるいは『ラ・レヴリ』
ヴァン・ゴッホ
モーリス•ドニ
最後にモーリス•ドニの絵画がたくさん展示された部屋がある。
私は絵画よりも壺に惹かれた。
「美術手帖」でのこの展覧会の紹介
https://bijutsutecho.com/magazine/news/exhibition/24832
モロゾフ•コレクション展 フォンダシオン•ルイ•ヴィトン(フランス語)
https://www.fondationlouisvuitton.fr/fr/evenements/icones-de-l-art-moderne-la-collection-morozov