fnac live 観戦記 第2日目をまだ書いていないのだけど、fnac live 観戦記第3日目である6月30日について先に書いておく。
私はこの日のために、27日にFnacの店舗の行列に並んだ。パリ市庁舎の室内である演奏を聴くためには、27日正午から配布されるチケットが必要だったからだ。
30日の夕方。ワンピースを着て、化粧して、アクセサリーもつけて、出演するミュージシャンのYou Tubeを聴いて準備万端だった。期待が高まっていた。
午後5時50分くらいだったと思う。そろそろ会場に向かおうかと思っていると、夫からSMSを受け取った。フランス語で、「Fnacliveは中止だ」と書かれていた。twitterやfnacのサイトで確認したら、つい一時間前に中止になったようだ。
中止になったのは、それだけではない。温泉保養地アンガン・レ・バンでの週末のジャズフェスティバルやスタッド・ド・フランスでの女性歌手ミレーヌ・ファルメールのコンサートなど、たくさんのイベントも中止だった。
さらに複数の情報によると、バスとトラムは午後9時以降運行しないとある。
パリ郊外ナンテールで6月27日、交通検問中の警察官が車の停止命令に応じなかった北アフリカ系少年(17)を至近距離から射殺したことで抗議行動が始まったことが背景にある。警察や人種差別への日頃の不満が噴出して一気にフランス全土に飛び火し、3夜目となる29日夜まで連夜、各地で暴動が発生。数千人がデモ行進し、一部が車や建物に火を付けたり、スーパーマーケットなど店舗で略奪を行うなど暴徒と化し、多数の人が拘束されたと複数のメディアが伝えている。パリ市内中心部のレアールのナイキの店舗が略奪された映像をtwitterで見た。
twitterやニュースサイトでは、フランス全土で起こった、たくさんの暴力的映像が見れたが、私自身は直接そういう場面に遭遇していなかった。
私は、2005年のパリ郊外暴動事件を思い出していた。
気持ちを切り替えよう、と、気を取り直して、午後8時、夫と運河へ。シャンパングラスとクレモンダルザスを持って、二人でのんびり飲んだ。twitterでは恐ろしい映像が流れていたが、周辺たくさんの人が楽しそうに踊ったり、談笑したりしている。犬も子供たちも楽しそうにじゃれている。軍隊が見回りには来た。
とても天気がいい。Fnaclive、昨日も一昨日も曇り空で最終日の今日だけが、一番お天気が良くて、開催されていれば、夕暮れ時、そこにいるだけで気持ち良くて美しかっただろうに、と思った。急に大雨が降って参加者が軒先に逃げようと散り散りになっても、ミュージシャンだけは大雨に打たれながら最高のパフォーマンスを見せようと頑張っていたFnaclive(実際、数年前そういうシーンに遭遇)。私も残念だけど、準備してきたミュージシャンやスタッフも残念だっただろうなあ。
【6月30日のパリの空】
つまみを買いに寄ったとき、スーパー、モノプリの店舗がガラスを割られないよう板を貼り付けていた、と夫に話したら「パリ市内のモノプリも破壊された店舗がある」と夫が言った。
家に帰ってライブアルバムを聞いた。ライブアルバムたくさんは持っていない。コールドプレイの2012年のライブアルバムはシャンゼリゼのFnacで当時買った。Fnacで買ったステレオでそれを聴く。
最終日の夜、Fnacliveを聴けなかったけれど、私は時間を失ったわけじゃない。静かに空や木を見て、一番心地よい季節に運河でグラスを傾けた。ライブアルバムを家で聴いた。時間だけは誰にでも平等にあるのだ。
夜中に銃声のような音が長い間して(花火らしい)救急車かパトカーのサイレンが鳴った。それでも、眠ろう。明日のために。
【私のライブアルバムコレクション】
この日Fnacliveで聞く予定だったミュージシャン
- 19h00 : ALEX MONTEMBAULT
- 19h45 : OAN KIM & THE DIRTY JAZZ
- 20h55 : GABI HARTMANN
OAN KIMのクリップ