パリ徒然草

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新型コロナ 「祝祭」を失ったパリ

 2020年3月16日月曜日午後2時。
 パリの通りのレストランやカフェはすべて閉まっていた。まるでSF映画の世界にいるみたいだと思う。
 閉まったのは、デパートや公園、美術館も、だ。2020年の元旦に凱旋門で美しい光のショーと花火で幕を開けたパリのイメージと、それはとてもほど遠い。パリのカフェの賑やかなイメージとも、かけ離れている。

 スーパーマーケットの入り口には、列を作って人が待っている。人数の入場制限があるので、数分待たないと中には入れない。トイレットペーパーとパスタは、すべて売り切れだ。

 午後8時、マクロン大統領の演説を聞く。17日火曜正午から15日間の外出制限。食料品と薬の買い出し、仕事以外では外出できない。

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(平日午後と思えないほど閑散としたパリの通り)

ヘミングウェイは、パリを移動祝祭日だ、と言った。コロナウイルスはパリから「祝祭」を奪った。デパート、美術館、オペラ、カフェの賑わい、華やかで美しい夢のような日々を根こそぎ、泡沫(うたかた)であったかのように奪い去った。

 移動祝祭日を奪われても、この街に希望を与えるもの。それは、ルソーやサルトルを生んだ哲学だろうか。あるいは、ビクトル•ユーゴーカミュの文学だろうか。それとも、「人権」という概念だろうか。パリに閉じ込められた15日間、毎日何か書いてみよう。