パリ徒然草

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外出禁止令前後、パリから田舎へ大移動 「バカンスじゃない、家にいろ」と言われても....

 私の夫のフランス人パリジャンは、外出禁止令が出た今月16日ごろから、数千人のパリジャンがパリを離れて、セカンドハウスやレンタルした田舎の家に、移っていたことを怒っている。連帯がない、田舎にウイルスを撒き散らすかもしれない、というわけである。確かに、そのせいで、3月16日、17日ごろ、パリの駅は混雑が起きていた。

 うーん、でも、大統領は「戦争」って言ったんでしょ。日本でも、戦時中は都市から疎開する人、多かったよ、特に子供のいる人は、ね、と私は言った。それに、パリから少しでも人がいなくなってくれれば、パリのスーパーも、道路も人が少なくなって、残る人にも、いいことじゃないか? おかげで食糧は余るほどありそうだ。車が減ったのが主な原因だけど、大気汚染も改善された。良かった良かった。

 フランス人は、個人主義だと思っていたのに、危機的状況になると、急に連帯を言い出すんだな、と発見でもあった。夫の言うことにも一理あって、フランス政府は、セカンドハウスすら移ることを禁止している。特に、先週末の21、22日は駅での警察の取り締まりを強化した。確かに、週末に田舎に移動されて、感染リスクを上げられるのは困るのだろう。実際に、フランス西部の海側の地方の小さな町の人口が2倍になり、その町の医者は、新型コロナウイルスとみられる患者が増えた、と話していた。 (franceinfoの記事Coronavirus : des urbains venus se réfugier en Vendée "ont diffusé l'infection", affirme un médecin)

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(フランス西部の美しい沿岸部。だが、今では、海沿いの散歩も禁止で、警察が取り締まっている)

 レストラン、カフェ、ブティック、すべて閉まってしまったパリ。通りの人もまばら。路地など、私一人になる。石造りの街は、急に寒々しく、冷たく見える。

 12月のRATP(パリ交通公団)ストライキの頃は、通りに自転車、人が溢れ過ぎて、歩くのも危ないと不平を漏らしていたのだから、今こそ悠々と歩けばいいのに、急に犯罪が怖くなってみたり、人間の不安や不満にはきりがない。

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(人も車もまばらになったパリの街)

 閉じられた公園の中で、木が、葉を広げて陽の光を浴びていた。周りの風景が変わっても、木は木漏れ日の中で静かに動かずにいる。