6月21日、夏至の日、そして、フェット•ド•ラ•ミュージック(Fête de la Musique)。私はこの日が大好きだ。この日をパリで過ごすことができるのは人生の幸運の一つだと、思っている。
フランスでは1982年に、当時の文化相だったジャック・ラング氏がフェット・ド・ラ・ミュージックと呼ばれる音楽祭の日を設けて以来、毎年6月21日に音楽イベントが開催されている。この日は、1日中音楽を楽しむ。朝から晩まで路上やバーやカフェなどでも音楽が奏でられている。とても楽しい日。
約15年前に思った。この日を何回パリで過ごせるだろう? そのために生きようというくらい好きだった。パリに住む前、日本にいるときも、この日に合わせて何度かパリにやってきた。だから、私は恐らく12回くらいパリでこの日を経験している。
この日に、有名なフランスのミュージシャンのライブを何度か聞いた。トロカデロで聞いたAnais、Asa…。パレ・ロワイヤルで文科省主催のコンサートがあった年も何度かあり、スーツ姿のエリートらしき職員もラップやエレクトロに合わせて踊っている姿を見た。
ルーヴル美術館のピラミッドの下で、深夜12時くらいからオーケストラの演奏を聞いた年もあったし、ニュー・モーニングというジャズのお店で深夜3時まで質の高い演奏に酔いしれた年もあった。
ここ数年は有名無名にこだわらず5区のアイルランド文化センターに行ってケルティックミュージックを聞くことが多くなっていた。
たくさんの印象的な思い出ができた。木の下で気持ちよく音楽を聞いていたら、鳥にオシッコをかけられたり。急に大雨と嵐になったり。レピュブリックであるテテ(TETE)のコンサートに行こうとしたら人が多くて押しつぶされそうで危険を感じて結局、諦めたり。
今年は、結局、パリ5区のアレーヌ・ド・リュテス(Les Arènes de Lutèce)円形闘技場遺跡で開催されたフランスのラジオ局のコンサートに行った。リュテス円形闘技場は紀元1世紀に古代ローマによって建造された遺跡である。
こんな入口を入って行くだけでワクワクする。
最初に聞いたのは、 Thomas de Pourquery と Laurent Bardainne とFabrice Martinezの3人で編成する Drôles de Dames というグループ↑。私の好みだった。もっと聞きたかった。
真ん中の人が自分が歌った後に観客に歌わせようとするので私も一緒に歌った。歌うって気持ちいい。新型コロナ問題が起きてからというのも、みんなで歌うって本当に久しぶりな気がした。朝から「ニルスのふしぎな旅」を歌っていたおかげで多少は声が出て良かった。
次がイギリスのミュージシャン、Peter Doherty(写真右)↑。
若いのに、歌が素晴らしく凄い才能があるミュージシャン、Meskerem Mees(写真左)↑ も登場。
この後もコンサートは続いたが、私は一人だったこともあり、時間の関係でここで、帰路についた。もう夜間外出禁止令もなくなって、朝帰りも可能なのだけれど。
ちなみにこのコンサート5時間以上と長いがこちらのサイト↓で聞ける。特に最後の出演者、Ballaké Sissokoはネットで聞いたら素晴らしかったので、最後の方だけでも、聞いてみてはいかがだろう。
https://www.fip.fr/emissions/live-a-fip/fip-fete-la-musique-aux-arenes-de-lutece
夏至の日の風が心地良かった。この日に、野外で、生演奏を聞く。木々の色、陽光、すべてが素敵な日。今年は、曇りがちだったが、雨が降らなくてラッキーだった。
【リュテス円形闘技場で音楽を聞く観客たち】
一方で午後9時に家路に着き、地下鉄も空いていて8人がけの奥の席に一人悠々と座ってソーシャルディスタンスしていたら、次の駅で6人の男性ばかりの若者グループが乗ってきて、残りのすべての席を占領した。
横に、斜め前にテンション高い若い男性がいて肩身が狭い。彼らはビールを回し飲みしたり、マスクもずらして大声で喋ったり、祭りということで酔っているので、ちょっと怖い。降りるとき、どうしよう、と不安になった。
結局、彼らが先に降りて助かった。Ballaké Sissokoの演奏は聞きたかったが、やっぱり、早く帰って良かったのかも。
2021年のパリのフェット•ド•ラ•ミュージックと言っても、何時にどこにいるかで全然雰囲気が違う。こちらは、パリの新聞パリジャンが撮影したこの日の映像。↓ヴァンセンヌの森、パリのとある通り、エリゼ宮、セーヌ川岸、レピュブリック広場が見れる。