パリ徒然草

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ロックダウン(封鎖)の前にこれをしろ①日本の行政ヘ 外出禁止令パニックの混雑を作らないで

 小池百合子都知事が東京都も新型コロナウイルスの感染者が増えており、ロックダウン(封鎖)の可能性を語ったそうだ。今週末の不要不急の外出の要請が出ている。神奈川、千葉、埼玉3県に対しても、都内への不要不急の移動を控えるよう求めた。

 日本では、先週末埼玉県で6500人規模のイベントが開催された、お花見している人も多い、と聞き、心配になっていた。

 こうして、都知事、県知事が要請していくことはいいと思う。観光業や飲食業には大打撃だろうが、方法がない。こうした不要不急の外出禁止や移動の制限の要請は、ある意味、すべての人への広報活動にもなる。

 次に行政主導でやるべきは、お店や駅、空港などヘの入店、入場する人数の制限である。フランスでは、入場する入口は1箇所に絞られ、入口に係員がいて入場人数を制限している。列を作って待つ人に対しては警察が巡回し、1メートル以上間隔を開けて待つよう呼びかけたりしている。また、接客で働く人への防護の徹底である。働く人が防護していることもまた、一つの広報活動になる。

 16日、17日の時点では、フランスでは、スーパーマーケットで働く人も何の防護もされてなかった。今ではレジの前にガラスの板やビニールシートがはめられ、販売員と消費者を隔てている。マスクや手袋は、つけている人、つけてない人、お店や個人によってまちまちだ。だが、全員がつけている状態になることが、広報活動になると思う。

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(レジの前にビニールシートのカーテンが取り付けられた。3月26日、パリ撮影。もっと小さなガラスの板を取り付けているスーパーもある)

 日本はまだ時間があるはずなので、封鎖の前に、これを行政主導でしてほしい。

 なぜ、こう書くか、と言うと、フランスでは、12日から今日まで、極地的に混雑した場所があったからだ。人と人の距離1メートルと政府は言っているのに、それが守られていなかった場所。禁止令後の禁止令パニックとも言える混雑。せっかく政府は、働けなくなった職業の人の給料を肩代わりまでして、家にいろ、人との距離は1メートル以上と言っているのに、本末転倒である。


 だが、そこにいる人も、守りようがなく巻き込まれる感じ。1メートル間隔をどうしても回避できない場所が私にもあった。人間の心理は恐らく世界共通な部分もあるので、行政主導で制限をしておくことで避けられるはずだ。

これらの動画は3月16日と17日のスーパーマーケットの混雑の模様を伝えるものだ。

https://youtu.be/H_kRfrIP3m0

https://youtu.be/7XKuWLD_Nqo

いつもこの状態なのではない。新型コロナウイルスへの恐怖ではなく、ロックダウン、外出禁止令への恐怖が結果的に、クラスター(集団感染)の恐れのある、密集、密閉、密接の3密空間を作り出している。

 本来的には、人が買い物に殺到しているなら、私は行かない。人が駅や空港に殺到しているなら、私は2週間でも、一ヶ月もここにとどまろう、と思う人ばかりになるのがいいのだが、そうなれないのが人間である。そういう人を、責めても仕方がない。
そもそも資本主義社会は、より人より早くを求めて来た。私が一番にトイレットペーパーに到達して、10個買って何が悪いの?というわけである。(ちなみに私の近くのスーパーでは個数制限もなかった)

 トイレットペーパー議論もなくてもいいものという考えもあるが、人々が買いに走ったのも一理あって、私が今、コロナウイルスと見られる症状が出た場合、それが二週間続いた場合、外に出ずに籠もり続けるときに、鼻を噛んだりする紙、症状で辛いときもいちいちタオルを洗ったりせず、いろんなところを拭いて捨て、清潔な場所に保つための紙として役に立つのだ。重篤にならない限り、家にい続けろというのが政府の考えだから。

 我先にとスーパーに買い物に走る人がたくさんいる中で、「1メートル間隔と言ってましたよ。守りましょうよ」と大声で言い出すリーダーシップのある人の到来、それに従う群衆を政府や行政は期待していたのかもしれないが、残念ながらそうならないのは、政治哲学者ホッブズの有名な言葉「万人の万人に対する闘争」を持ち出さなくても、分かるだろう。

そもそも大声を今出すのがいいのか、悪いのか?感染しているか検査していない私の飛沫を飛ばさないか? 昨日まで正しいと思っていたものが許されない世界に私たちは急に放り込まれている。そして、今、一番していけないのは対面での議論や争いだ。

私が知っている極地的な混雑ができた場所

◎スーパーマーケット
◎市場
◎空港
◎駅
である。


市場については、今では閉鎖されてしまった。駅構内に商店もあったのだが、現在では列車に乗る用事のある人だけが駅構内に入ることができるようになり、一箇所だけになった入口で、警察にチェックされている。

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(駅の入口。3月25日パリ撮影。駅の入口は今では1箇所しか開いておらず、入場チェックがある)