パリ徒然草

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早朝パンを買いに行く喜び

 朝からパンを買いに行った。ああ、外出証明書を書いて持参しなくて良い喜び!  それを書かなくていいからパンだけ買いに行こうという気にもなる。外出制限中は外出はしないか1日1回だけ、多くて2回外出、買い物はまとめて、という雰囲気もあり、まだ朝のスーパーが開いていない時間帯に、パンだけを買いに行くことはしていなかった。

 喜び勇んで、部屋の外に出ると、あ、しまった。マスク忘れた。そうだ、パリ市内の感染者数、重症者の数、まだまだ予断を許さない状況だから気をつけない、と。マスクをつけて、外に出る。

 朝の陽光は爽やか。朝早い時間帯に外出したのは、ジョギングしてこけた4月8日以来、一ヶ月以上ぶりということになる。

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(外出制限中も美味しいパンを供給し続けてくれたパン屋さんに感謝)

 パン屋は、今では、四角に穴の開いたパンの受け渡し口以外はビニールシートに覆われている。外出制限の3月17日、2ヶ月前はビニールシートなどなかった。パン屋のご主人は素手でパンを売っていた。

 その数日後、ご主人は手袋とマスクをするようになった。客と販売員がビニールシートで隔てられたのは一週間後くらいだったろうか。

 何時まで開いていますか?と私は尋ねた。
 21時、と主人は答えた。びっくりして聞き直した。
 最近14時までしか開いてなかったからだ。
「人が戻って来たからね。外出制限中だけ14時までだったんだ」とご主人。

 ああ、それだけのことがとても嬉しい。「Merci. Bon courage(ありがとう。頑張って)」。うん、連帯だ。こういうお店が経営していけるよう買うことも大事なことじゃないか、と自己満足。買ったバゲットを手に私は朝の光の中を軽い足取りで歩いた。