パリ徒然草

パリでの暮らし、日本のニュース、時々旅行、アート好き

コート・ダジュールでムールは食べるな

 12日間の滞在中、2回、レストランに行った。それ以外は、基本的に私が料理していた。暑いうえ、アパートでの破損という心配事が加わり自分自身があまり食欲がなかった。パスタ、クレープ、サラダ、そば、うどんなどで、大したものは作らないし、お昼は、サンドイッチで済ませることもあった。

 一回目のレストランで、食べたムールも海老も美味しくなかったのだ。すみません。。。贅沢言って。そのお店はgooglemapで調べたら、評価は5点中4以上あったし、高級感のある魚介専門店だった。予約客もいて、予約していなかった私たちは隅の席だった。

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 暑いからあまり食欲がなく、コース料理を食べる元気もない。たくさん食べない私たちに、あまり対応は良くなかった。この経験のせいでがっかりして、私がわざわざ調べてレストランに行くのが面倒になってしまった。

 レストランの席に閉じ込められ、席を立つときはマスクをすると気を配らないといけない状態も、私にレストランへの二の足を踏ませた。海岸や誰もいない展望台で、手作りのものを食べる方が新型コロナウイルスの時代、気兼ねなく悠々と過ごせて、贅沢な気がした。

 ホテルに泊まった日の夜ですら、鶏肉を焼いた物を浜辺で食べようと私が提案した。約5年前までは、日本の旅行会社のツアーで1日3食付きのフランス旅行をした経験もあり、その感覚で、私は昼と夜、1日2回レストランに行こうと言って夫を辟易させていたのだが、今回は逆に夫が抵抗した。最後の夜くらい、レストランにしようよ。

 私はマンドリュー ラ ナプールのお店で売っている鶏の丸焼きのファンなのだ。これを食べた後にまだお腹が空いていたら、レストランに行こう、と私は説得した。

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 食べたのはカンヌのミディ•ビーチ。渋々納得した夫がこれは上手い、と私の2倍のスピードで鶏肉を平らげている。浜辺はだんだんと夕焼けのローズに包まれていく。



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 フランス人らしいヴァカンス、聞こえはいいが、アパートを借りて料理し続ける、掃除し続ける暮らし。むしろ、調理器具の勝手が違い、手間取ることもあったり、食材を買いに行くスーパーでも時間がかかったりで日本人の主婦にはヴァカンスじゃない、と思う人もいるかもしれない(この点、車移動だと、多少は車に積めるので楽だと思う)。確かに、日本の温泉旅館の食事付きの休日も悪くない。

 新型コロナウイルスによるロックダウンは私を変えてしまった面がある。飲食業の方には申し訳無いが、3月ごろは食事によって感染するのではという心配もあって(これは最近、WHOによっても否定されている。全くのデマで申し訳無い)、自分で作ることこそが安全策と思っていた。下手でもいい、手抜きでもいい。安全な物をすべて自分で用意しよう。それが習慣化された感がある。

 パリに帰って、ブルターニュ帰りの義母に会ったら、こう言った。「ムールはコート・ダジュールで食べちゃだめよ。美味しくないわよ。ムールや牡蠣はブルターニュで食べないと。」

 ああ、そうだったのだ。魚介はどこで捕れた物か、大事だったのだ。一般に日本でも魚介は寒い地域の方が美味しい気がする。まだまだ、知らないことがたくさんあるなあ。まだまだ学ぶことがたくさんあるなあ。