パリ徒然草

パリでの暮らし、日本のニュース、時々旅行、アート好き

夏のヴァカンス

 7月後半からの夏のヴァカンスをまだ、何も、決めていなかった。

 夫との日本帰国を考えたが、夫のビザ取得も含めて面倒そうなので断念した。ブログで書いたように4月にプロヴァンスに、5月にアルザスに行ったばかり。これが日本なら、よく旅行するね、夏はゆっくりパリにいても、いいんじゃないの、と言われそうだが、ここはフランス。夫の家族の反応は全く違う。

 「まだ、決めてないの?」
 「早く決めたほうがいいよ」

 ヴァカンスに行けないなんて可哀相と言いたげな雰囲気。
 イタリアのコモ湖を強烈に勧められた。

 私が考えていたのは、ドイツのミュンヘン、フッセンの塩泉、ノイシュヴァンシュタイン城だった。フッセンの温泉からノイシュヴァンシュタイン城が見えるらしい。温泉とはいえ、プールもあるだろうし、サウナもあるだろうし夢が膨らむ。(私は、ドイツのバーデンバーデンに行ってドイツの温泉の清潔さをとても高く評価している。ヨーロッパの温泉の中でドイツの温泉は最も清潔な部類だと思う)

 でもこの案を話しても夫の家族に食いついて来る人がいなくて、もしかしてフランスとドイツは心の距離があるのか、それとも単に夫の家族がイタリア好きなのか?とにかく、なぜドイツなの?イタリアがいいわ、とイタリアをプッシュしてきた。

 私はイタリアにはベニス2回、ローマ2回、フィレンツェ3回、チンクエテッレ、ピサ、シチリア島周遊など行ったが、2年前に、新型コロナでカプリ島アマルフィへの旅行が出発前日にすべてキャンセルになり、けちがついてしまった。新型コロナが完璧に落ち着くまではイタリア!という気分ではなくなってしまったのだ。

 ドイツはフランスの隣国なのに私は人生で一度だけバーデン•バーデンしか行ったことがないので、いつか、コート・ダジュールに住む気満々の私は、今パリに住んでいるうちに、今より距離的に近くなるイタリアよりはドイツに行くべきと思ったのだ。お隣の国を知っておきたい気持ちもあった。

 夫の家族も最近もたくさん旅行している。体調不良がありつつも義母は最近、ブルターニュの島一週間いったん帰ってゲランドに一週間行った。義姉はこの3ヶ月の間、スペインのセビリア、フランスのヴェルダン渓谷に行った。去年のヴァカンスがイタリアのプイユだった義弟もコルシカ島から帰ったばかりだ。

 義妹は車でモナコからイタリアに入り、今ヴィエンヌ(Vienne)にいるという。えー、Vienne?オーストリアのウイーン(ウイーンはフランス語でVienneなのである)?大周遊旅行だね。義妹のパートナーはワクチン未接種だけど、入国の際の検査の状況聞いてみよう、と思っていたら、VienneはVienneでもフランスのVienneとのこと。フランスにも、Vienneがあったのだ。

 何はともあれ、皆旅行していて、夏もイタリアやブルターニュなどの旅行を計画していて私たちだけ夏の間、パリにいるのはかっこ悪い感じ…。

 確かにヴァカンスまで、もう3週間しかない。とりあえず切符だけ買うことにした。

 コモ、ミュンヘン、カンヌ、ニース、モンペリエなど飛行機や列車を、探した。コモやミュンヘンだと片道100 ユーロはする。往復で2人分なので400ユーロ。ここ数年格安航空券やOUIGOなど、安い交通費で動きすぎて、今更高い金額を払う気になれなくなった。。。さらにワクチン未接種の私はフランス入国前のPCR検査等の問題もある。

 ミュンヘンは航空券が一人往復約200ユーロ、列車だと約250ユーロ、これが二人分なので2倍になる。さらに、温泉近くの宿は一泊150ユーロ以上…。二人分で合計1000ユーロはくだらない...。コモも似たりよったり..。

 それに、夫によると、ヨーロッパ内の空港は新型コロナで一時期利用者が激減したことに関連する人員削減のためか、混乱が多く、飛行機の減便や遅延などの問題があるとのこと。そうでなくとも飛行機は3回か4回に一回は天候不良とか、機器の故障など何かある、イメージ。

 では南仏はどうだろう。南仏でも、交通費は片道一人最低70ユーロくらいする。宿の方も、予約するのが遅すぎて直前過ぎて海沿いのお手頃な宿は既に埋まっていて、ビーチに近くて車なしでも便利な場所だと一泊100ユーロくらいするなあ。


【去年のヴァカンスで行ったコート・ダジュールのアンテオール】

 ここ数年、夏はほぼ毎年南仏の海沿いの宿を借り徒歩でビーチに行っていた。遅くとも2ヶ月前には予約していた。いつも素晴らしい。悪いと思ったことは一度もない。いつも帰りたくない。夢の中にいるように幸せだった。ただ、今年は、4月の旅行が南仏プロヴァンスの海沿いだったこともあって、そして、いつか、南仏は住むので、少し気分を変えたくなった。


【去年のヴァカンスで行ったコート・ダジュールのアンテオール】

 結果、夜行列車でフランスミディピレネー地方のrodezという町まで行くことにした。一人22ユーロ(約3200円)で切符を買った。帰りもトゥールーズからのTGV OUIGOが22ユーロである。ミディというだけあって、こちらも南仏だが、海はない。合計88ユーロの出費。

 先日、下着に出費した320ユーロがあれば、コモでも、ミュンヘンでも、行けたけどなあ。。


 余談だが、お金を何に使うかは人それぞれ。旅行には行かないが、一瓶200ユーロ以上の香水を買う人を2人は知っているし、旅行にはほとんどお金を使わず、ルイ•ヴィトンやロレックスなどをコレクションする人も知っている。いつも、作業着のような服で労働していて、土地を買いまくり駐車場だけで、100台ぐらい貸している人もいたなあ…。でも稼いだお金はすべて土地に投資…。

 夫はミディピレネー辺りの山に住むのが夢なのだそうだ。今年は、この辺りでのんびり過ごしてみよう。住むまではいかずとも、夢の場所に数日間いるだけでも嬉しいのではないだろうか。


【去年のヴァカンスで行ったマンドリュー•ラ•ナプール】

 そして、早速、宿もだいたい予約した。一泊平均70ユーロ程度で予約できた。移動はしつつも、アパートに4連泊する日を入れ、数日のんびり過す予定だ。以前にこの地域に行ったとき、チーズとフォアグラが美味だったので、それも楽しみの一つである。

 外国に行くのもいいが、ドイツ語もイタリア語もできないので、バスを探したりするのが個人旅行はストレス。美術館や博物館の説明板が読めないのも厳しい。

 それでも、新型コロナ以前は格安の航空会社の飛行機でイギリス、アイルランド、イタリア、スペイン、ポルトガル…もっと、気軽に行ってたなあ...。


【去年のコート・ダジュールの海。この海の青はコート・ダジュールならでは】