パリ徒然草

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16区でギマールのアール・ヌーヴォー建築散策

 パリ16区、地下鉄ジャスマンを出て、坂を下ったジャン•ドゥ•ラ•フォンテーヌ通り(Rue Jean de la Fontaine)に行った。

 

 この通りには、建築家エクトール・ギマール(Hector Guimard)がデザインした、アール・ヌーヴォー建築が随所で見られる。

 

 アール・ヌーヴォーとは19世紀末に流行した芸術運動で、花や植物をモチーフとした曲線の組み合わせが特徴的な芸術。ギマールはパリの至る所にあるメトロの入り口のデザインで知られている。


 ギマールが初期に手がけた仕事がジャン•ドゥ•ラ•フォンテーヌ通り14番地のカステル・ベランジェ館(Castel Beranger)。ギマールが28歳の時に6階建て36戸のアパルトマンとして設計した。1895-1898年に完成した。入り口の優美な門扉が目立っている。


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 外から見ることしかできないが、ベランダや換気口などには奇怪な生物のような鋳鉄細工まで付けられるなど、凝ったデザインが施されている。


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 ギマールは隣国ベルギー、ブリュッセルにあるヴィクトール・オルタの建築に感銘を受け、影響されて完成させた。これはパリで最初のアール・ヌーヴォー建築となった。(ブリュッセルで見たオルタ邸素晴らしかった)

 

 ギマールは、この仕事でパリ市から賞を授かり、メトロの入り口のデザインを手がけることになった。


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 このような外観の奇抜さから、アパートの名をもじって「迷惑をかける (déranger)」おかしな館と世間からは当初冷たい批判を浴びた。

 

 この通りのもう一つのギマールの建築物はメザラ館、下の写真の建物。


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 こちらの右側の建物もギマールの建築物。
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 遠くにエッフェル塔が見えている。
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 この通りを歩くだけで、楽しい。そこから少し歩いて商業地域であるパッシー通りで買い物した。


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【パッシー通り】

 

 初めての海外、初めてのパリでこの周辺にホームステイしていた。

 私にとっては、何年経っても、そこが最もパリらしいパリなのだ。時を経て、ホームステイ先の住人は変わっても、昨日のことのように記憶が蘇り、自分自身は大して成長していないことに驚く。


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