パリ徒然草

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パリで初めて、ちり鍋を作った 

 寒い冬の私の大好物は、ちり鍋だった。日本の実家では、ホウボウ、アラ、フグを使って作っていた。魚屋にちょうど良い魚がなければ作らなかった。そのくらい、水炊きは、魚の味に左右される。

 

 急に寒くなったので、ついにちり鍋を作ろう、と思いついた。ちり鍋は、冬の季語なのだそうだ。情緒を感じる。はてなブログのお題で「鍋」について書いたおかげで鍋への情熱に火が付いたのだ。

 

 だが、パリでどの魚を買ったらいいのか、魚が良く分からない。

 

 ネットで調べたらフランスでアンコウ(フランス語でLotte)鍋を作った方がいらっしゃって、でも、美味しくなかった、と書いてあった。アンコウ鍋、日本で食べたときはすごーく美味しかった記憶。ネット情報、美味しくなかった情報も役に立つなあ、ありがたいなあ、と思う。ただし、魚の味は鮮度や時期、獲れた場所など、さまざまな条件に左右されるから、それでも一度トライしてもいいのかもしれない。

 

 パリの日本語情報誌OVNIのサイトに鱈鍋レシピが載っていて、これなら魚屋でも見つけられそうだ、と思い、cabillaud(鱈)という魚を買いに行った。

 

 魚屋にはまるごとのcabillaudはなく、既にヒレになっているものしかなかった。レシピでは煮崩れしないよう皮付きを勧めていたので、皮付きをお願いして、エビと一緒に買った。

 

 帰って来て、買った物をよくよく見てみると、あちゃー、cabillaudではなく、bar(鱸スズキ)になっている。皮付きはスズキしかなかったのだ。コロナウイルスのせいで魚屋さんと離れて会話していたし、魚の説明書きは遠くて良く見えていなかったので、分からず買ってしまった。魚屋ではこうした失敗をときどきしてしまう。

 

 スズキで鍋を作ることにした。スズキは皮にウロコがついていて、かなり丹念にウロコを落とさないといけなかった。お湯を沸かして一度軽く煮て、氷の中に入れて臭いを消した。

 

 夫が目を白黒させて「出番はなさそうだな」と言った。夫は食べたことがないのだし、夫の家庭ではサーモン以外あまり魚を食べないのだから何をやればいいか分からないのは当然だ。

 

 後は、お湯の中に切った野菜や豆腐などと放り込んで鍋で煮て待つだけ…。味付けは醤油、米酢、レモン、柚子胡椒。

 

 結果は、と言うと、スープが相当に美味しくすっかりいただいた。鍋の後に、卵とネギ、ご飯を入れておじやを作り、白ゴマを振って食べたが、これが相当に美味しかった。


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 普通に食べられるが、臭いがあるのでスズキが鍋のお勧めの魚ではない。ホウボウ、アラの上品な味とは違う。一方で皮なしの鱈だと、崩れてしまうかもと思う…。次は皮付きの鱈を見つけて作ってみよう。ホウボウはgrondinと言い、フランスでも見かけるそう。また探してみよう。


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 パリでちり鍋をまた作ろう、と思えるほどに、スープもおじやも美味しかった。新鮮なスズキだった。パリは海に遠いけど、お魚も手に入るいい場所だー。