パリ徒然草

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ポン・ヌフのマスカロン

今週のお題「鬼」

 「鬼」というのは日本特有のものなのか、と思っていたが、パリでも、鬼を思わせる彫刻にしばしば出くわす。

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 これらの彫刻を見て、私は「鬼」を思い出した。

 ここは、パリの中心部、セーヌ川にかかる橋、ポン・ヌフ。1607年に完成した橋。

 ポン・ヌフには、角のある、怒った白人男性のような顔の彫刻がたくさんある。これらの彫刻はマスカロンと呼ばれている。数えたことはないが、ポン・ヌフ橋だけで381個ものマスカロンがあり、その一つひとつの顔の形は、違うのだという。

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 マカロンなら、可愛いけれど、「ス」が入るだけで、恐ろしくなるなあ。

 マスカロンウィキペディアで調べると、ヨーロッパ各地で見られる建築装飾で、必ずしも恐ろしい形相の顔ばかりでは、ないようだ。



 鬼ではないが、マレ地区には、牛のマスカロンもあった。ギリシア神話に登場する牛頭人身の怪物、ミノタウルスの頭かもしれない。

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 日本の鬼瓦には、厄除け・魔除けの役割がある。「その恐ろしい形相で身に降りかかる災難を払ってほしい」という願いが込められているという。

 ポン・ヌフのマスカロンが何を意味するのかは諸説あり、川の神を表すのだという人もいれば、橋の上にたむろする人々をユーモラスに表したのだという人もいるようだ。

 ポン・ヌフのマスカロンも同じように厄除けでは、ないのだろうか。日本人的発想から逃れられないまま、セーヌ川周辺を歩いた。

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