パリ徒然草

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なぜ、フランスで新型コロナ感染が拡大したのか① (②に続く)

 なぜフランスで、日本以上に新型コロナウイルスの感染者が爆発的に拡大したのか? 私なりに考えてみた。
 1、ビズ(ほっぺにキスするフランス式挨拶)や握手、ハグなどの挨拶の習慣
 2、フランス式コミュニケーション。お話大好き
 3、一般人への情報不足
 4、高齢者を含めて家族が集まる習慣
 5、学校閉鎖が遅かった(3月16日)
 6 、マスクをほとんどしていなかった

マスクは、病気の人がつけるという考えで日本に比べれば3月初めはつけている人がほとんどいなくて、つけるのに勇気が必要なほどだった。
思いつくのは、この6つ。

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(家族が集まったときのテーブル)

 逆に言うと、日本の感染が緩やかだったのは、
1、お辞儀で、接触しない日本式挨拶
2 、長話しない日本的な空気を読むタイプのコミュニケーション
3、テレビの情報番組や宅配制度のある新聞、官公庁の広報チラシなどによる、高齢者を含めた情報の拡散
4、核家族が多く、労働時間も長く、高齢者と接する機会が少ない
5、学校閉鎖が、早かった(3月2日)
6、自主的にマスクをつけている人が多い
それに加えて7番目に、感染者が一人出たときの行政の調査の綿密さ、を加えておきたい。フランスがどうやっているのかは私が情報を見てないだけかもしれないのだが、日本では、発症者が一人出る度に、その人と最近接触のあった人たちを検査し、陽性であれば隔離していた。感染者の名前は伏せてその人の住所や職業、年齢、簡単な直近の行動記録などが、マスコミによって明らかにされていた。それによって、恐らく接触があった人が名乗り出て検査を受けることもあるのだろうと思う。


 実は、私はもう一つ、日本人の多くはご飯を箸で食べるが、フランスではパンをちぎって手で食べるから、というのを思いついたのだが、最近ではパン食の日本人も多いし、食前に手をきちんと洗うのであれば、問題ない気もする。パン屋の売り上げに影響することを書いて不必要に、煽りたくない。
 実際、パン屋さんのパンは買わず、工場で作られた袋に入ったパンを求めるようになったフランス在住者もいるようで(ネットで読んだこともある)、近くのパン屋が客が少ないからと早く閉店するようになってしまった。
 そのパン屋も、以前は素手で販売していたが、今では、お金を扱うときは手袋をつけ、パンもトングで取ってくれるようになったし、私は食べ続けている。フランスのバゲットは美味しい。パン職人に頑張って欲しい。

 
 1,2,4に関係するが、私も、フランス人の夫の家族と月に2、3回は会っていて、3月8日日曜日にも、80歳以上を含めて5人集まってしまった。その日はさすがにフランス式の挨拶であるほっぺにキスするビズはせず、靴を鳴らし合ったり、日本のお辞儀をし合ったりしたが、3時間以上部屋の中で一緒にいて、いろいろ話したり、食事を分け合ったりしたので、感染の危険は避けられない。今のところ誰一人症状が出ていないことを幸いに思うしかない。

 5の学校閉鎖については、フランスの方が女性が社会進出しているので、学校閉鎖がやりづらかったのでは、という話も、聞いた。学校閉鎖というのは、一つの例で、「ビズをしたら罰金を取る」など、何か、フランス人全体が気をつけるようになる政策をもう少し早く打ち出して欲しかった。だが、フランス政府にも感染症の危機管理マニュアルはあるはずで、死者、感染者の数でどのレベルの危機管理になるのか、国による違いがあるのかもしれない。
 今日も、フランス閣僚に感染者が出てしまったようだ。私たちの自由は、奪っておいて! と一瞬、怒りそうになったが、働く人も、大変だ。感染しないように防護しながら頑張って欲しい。なんとかいい方向に行ってくれるよう祈るばかりである。
 
 マスクの論議は、また、別の回で書くことにする。