パリ徒然草

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高齢者施設で感染のニュース聞くたび祈るような気持ちになる

 「マスクがなかった」「入所者の症状を最初は風邪だと思っていた」Ehpad(医療支援付き老人ホーム)の介護職員の女性は自分も新型コロナウイルスに感染し、後に夫を感染させて、夫を亡くした。職員は顔を隠してフランスのテレビに出ていた。顔は見えなくても彼女の全身から悲しみを感じた。

 2020年4月14日までのフランスの新型コロナウイルスによる死者数17 167 人。そのうちEhpadでの死者が6 524 人。この死者の数ごとに、人生が、物語が、あっただろう。


 フランス保健相は昨日、すべての医療従事者、Ehpadの職員も含めて500ユーロ-1500ユーロをボーナスとして与えると言った。お金じゃない。マスクや防護服、そして人手をもっとくれーと現場の人は、言っている。残念ながらフランスはマスク不足で、Ehpadへのマスクの配布は病院より、後回しにされてしまったようだ。


 群馬県の老人ホームでクラスター、広島県介護施設クラスター。そんな日本のニュースに接する度、フランスでの現状を思い、日本の介護施設が心配になる。

 日本では3月学校を休校にしても、介護サービスは存続させて来た。車での送迎付き入浴介助などフランスより手厚いサービスがある。そしてフランスやアメリカほどの死者数が出る惨状はまだ耳にしていない。それは凄いことだと思う。

 日本はうまく行って欲しい。祈るような気持ちでいる。だが、祈りだけでは解決しない。

○一番末端で働く人が迷わないで取り組める感染者が出たときのマニュアルはあるだろうか
○職員は風邪の症状が出たらすぐ休むよう指導されているだろうか、休める体制だろうか。
○マスクや防護服は十分だろうか。
○専門家とともに感染を防ぐ方法を模索し、教育できているだろうか。
○こうした施設の人が優先して検査できるシステムは整っているだろうか。
○感染することは何も悪くない。報告しないことが悪い。検査しないことが悪い。感染の事例から、感染しない方法見つけよう。そういうムードがあるだろうか。

 日本の緊急事態宣言が全国に拡大されるようだ。イタリアの事例に学ぶなら最初から全国にすべきだったのかもしれない。残念ながら緊急事態宣言後、他の道府県での感染者が増えてしまった気がする。私も一部の地域を厳しくすることによる他県への人の流入が心配だった。でも、まだ間に合うことがたくさんある。やるべきことがたくさんある。

参照記事
https://www.force-ouvriere.fr/coronavirus-le-cri-de-desespoir-des-personnels-des-ehpad

https://www.ouest-france.fr/sante/virus/coronavirus/coronavirus-inquietude-apres-le-deces-de-17-residents-en-moins-d-une-semaine-dans-un-ehpad-de-seine-6805224