パリ徒然草

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花火とフランス国歌

  7月14日23時、結局、パンテオンの前で花火を見た。学生だろうか、若者たちがたくさんいた。花火の前から、その若者たちが大音量で音楽をかけた。テクノやダンスミュージックだった。大声で話をしたりもしていた。ときには笑い合った。うるさくて眉をひそめるくらい、逃げ出す人もいるくらいだった。

 私は一生懸命、花火を写真に収めようとした。そもそも、ここからは、花火は遠いし、下の方の6割くらいは隠れている。涙ぐましい努力とも言える。

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 若者たちは、フランスのポップス歌手、クリストフ•マエの歌を歌ったりもした。だが、花火がフィナーレを迎えるころ、「ラ マルセイエーズ」を歌い始めた。若者たちは、次々に歌に加わり、みんなで合唱した。胸が熱くなった。

 私たち日本人は、こんな風に国歌を歌い始めるだろうか。テクノやポップスの後で。


 小学校、中学校、高校では、ことあるごとに式で「君が代」を歌った。だが、大人になって「君が代」を歌う機会に恵まれた人はオリンピック選手とか、何かに秀でた人たちだけかもしれない。残念ながら、凡人の私は、学生のころ、あれだけ歌った「君が代」を歌う機会に恵まれない。

 日本でも大人になった後で同窓会でカラオケで国歌を歌った人はいた。場は盛り上がらなかった。その人は軍歌も歌ったので、私は勝手にその同級生を右翼なのだろうと思っていた。他の誰一人一緒に歌う人はいなかった。大人が歌わない国歌をなぜ子供に歌わせたのだろう。ー急にそんなことを思い巡らせた。

 ああ、やっぱり花火は、「他者」と一緒に大勢で見るべきだ。

 10年後、私は花火の形や色を正確に思い出せない。でも2020年の花火は、フランス国歌 「ラ マルセイエーズ」のフランスの若者たちの合唱ともに記憶されるだろう。


追記
39分ごろから、下のYouTubeでFRANCE2というTVチャンネルによる2020年のカトルジュジュイエの花火中継が見れます。これを見ると、パンテオンからの肉眼では10%も見えてなかったことが分かります。
https://youtu.be/2sq8PifP-tc

上記の「他者」とは、フランスの哲学者レヴィナスの言う、理解できない人、気付きをくれる人。4月20日の日記を読み返した。