パリ徒然草

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緑と太陽光の美しさ

 ブログの読者が永井荷風のエッセイを送ってくださった。

「どんより曇った日には緑の色は却って鮮やかに澄渡って、沈思につかれた人の神経には、軟らかい木の葉の緑の色からは一種云いがたい優しい音響が発するような心持をさせる事さえあった」(「花より雨に」)。

 パリのビュット•ショーモン公園で6月初めに撮った写真に触発されて送ってくれたのだという。ありがとう。

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 「どんより曇った日に緑の色が却って鮮やかに澄み渡る」まさにそんな写真。6月初めの写真には、久しぶりにパリの公園に入ることができ、緑を愛でる私の喜びも写真にこもっていた気がする。もっとも私はスマホで撮っているだけなので、プロの技術と道具があれば、出来栄えは違ってくるんだろうけど。

 改めて写真を見て色々な緑色があることに気づく。写真に大事なのは、光だ。曇り空だけど、写真をきれいに撮るには、十分な光があるということだ。

 前回の日記の1枚目の写真も、曇り空の下で撮影した。スマホ内蔵カメラのオートだと、曇り空の方が緑が鮮やかに撮影できるのかもしれない。


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 ここだけ切り取ると、フランス人によると、「アマゾン(Amazonie)のマングローブ」まで旅したようにすら見える。私はマングローブを日本の西表島でしか見たことがないけれど。ちなみに撮影場所は、パリ市内から電車で30分プラス徒歩40分のLargnyのマルヌ川沿いである。


 新型コロナウイルスによって、外出制限令を経験したことによって、私は自然の中にいることがますます好きになった。歩くにしても、人混みの中より、人に知られていない、人があまり来ない、何の変哲もない自然の中に行く。その方が人に触れないようにしなきゃーなどと気をつかわなくていい。自然の魅力も感じる。


 近くの公園でただ木を眺めているだけのこともある。木と対話しているような気持ちになることがある。

 5月から7月にかけてフランスの緑は美しい。今日は、今までに日記に載せた写真と重複する写真もあるが、今年のこの時期に撮ったお気に入りの緑の写真を載せておこう。

 永井荷風のようには、うまく表現できないけれど、どんより曇った日だけでなくて、快晴の日の緑も好きだ。力強い太陽の光に、緑が透けている。木はとても気持ち良さそうに葉を広げている。その美しさ、その複雑さに、神様が宿っているかのように感じることがある。

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 どんな芸術家も、これだけ複雑で美しいものを作れるだろうか、と私は考える。私は写真を撮りながら創造主の仕事に感嘆している。

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