7月某日。エッフェル塔の見えるトロカデロ公園。
その日はあまり人もいなかった。ベンチに座って、サンドイッチを食べようと思った。
色鮮やかな鳥が飛んできて、近くのベンチのスマートで大きな体躯の2人組の若者が鳥を避けるためベンチから逃げ出した。その鳥が私が座っていたベンチにやってきた。
インコである。サンドイッチを食べるのも、ベンチに座るのも諦めたが、写真を撮った。ベンチはインコの特等席となった。
何枚か写真を撮った。
インコは特等席から動かない。他の場所を探そうとベンチを離れた。
後ろを確認しながら、何歩か歩いた。
その瞬間である。ウギャー。何かが背中に噛み付いた。私は必死で払い除けた。先程のインコが飛んできて私の背中にいた。
ぎゃ~、鳥インフルエンザになったらどうしよう。濃厚接触してしまった。(あれから10日くらい経つが症状がないので大丈夫だったようである)
やっぱり、許可なしに写真を撮るのは、動物であれ、人間であれ、相手を怒らせるのだろうか、と私は考え続けていた。
動物の生態に詳しい人にこの話をしたら、
その人が私に尋ねた。
「その時、何色を着てた?」
「へ? 色? 空の色のような鮮やかなブルーだけど」
「それは求愛行為だね。今はインコの発情期なんだ」
その後、ネットで調べたら、インコの発情期は春から夏で、発情期に攻撃的になり、噛んだりすることも、とある。
インコと間違われた。私をブルーのインコと思ったのだ。写真を撮っていたことをじっと見つめられていると思ったのかもしれない。求愛されてしまった。
春から夏のパリの公園では、発情期の求愛に、お気をつけください。