le Var県から海岸線を東に移動し、Alpes-Maritimes 県までやってきた。久しぶりに標高429メートルにある鷹の巣村エズに行った。エズ村に行くのは7回目くらいだろうか。
エズ村までは82番バスで行ったのだが、午後6時を過ぎると、82番のバスの便は一時間に一本程度になる。私は、しっかりネットでバスの時刻を調べ、バス停でも確認した。
だが、村に着くと、夫がエズ村自体に目もくれず(村観光は以前に一緒にしたことがあるからだと思うが)、「ニーチェの道を歩こう」と言い出した。私はいいよ、でも、まず、村を観光してからにして、と言った。私が簡単にOKしたのも、新型コロナウイルスによって村でもバスでもマスクしないといけないので、山道ならマスクから開放されるから、という気持ちがあったように思う。
夫は全然調べてくれない。ニーチェの道の入口には、注意を呼びかける看板があり、山歩きに適した靴、帽子、水をきちんと準備しろ、との表示があった。私の靴はたまたま、スニーカーだが、背中が大きく開いたワンピースを着ていた。行き当たりばったりの山歩き、大丈夫なのか?
私は自分のスマホのバッテリーが30%切っていたので、夫にgoogle mapで調べてくれ、と言うのだが、夫は最後まで調べてくれなかった。というか、電波が通じてなかったように思う。そして、今回の旅、私は日仏すべてのガイドブックを忘れて、パリに、置いてきていた。
だから、28度の炎天下、ワンピースのまま、どこに着くのか、どのくらいの時間がかかるのか、分からないまま、山道を歩いた(真似しないでください!!!)。
【エズ村を後に歩き始める】
石と土でできた山道は下りだと、良く滑った。滑って足をひねってしまい、途中から、足が痛くなった。私のテニスシューズが安物のせいなのだろうか、つるつるした石があり、少なくとも5回は滑った。夫が2回滑って転びそうになるのも目撃した。真夏なので、乾燥して滑るのかもしれないが、雨の後はもっと滑るだろう。
途中、絶壁の深い山道になり、車の音も聞こえない。時計の時刻は午後6時を過ぎている。私はだんだん不安になった。日が暮れたらどうしよう。夫にgoogle mapで調べてくれと再度行ったが、何度もスマホを操作していたが、返事がなかったので電波が通じていなかった気がする。
以前に、良く調べないまま、ロクブリュンヌの村から車道まで下りたことがあり、30分くらいで着いたので、そのくらいで着くのだろうと高をくくっていたのが甘かった。
視界が広くなると、確かに景観は素晴らしい。紺碧の海と深い山のコントラスト。
せっかくニーチェが「ツァラトゥストラはかく語りき」を構想した道を歩いているのだから、ニーチェの‘’超人‘’思想についてでも話そう、と提案したが、提案は露と消え、二人とも、山道を早く滑らないよう下るのに、一生懸命で、そんな余裕はなかった。
【ニーチェの道のちょうど中間地点にあった説明板。この写真はニーチェの道を歩いた証拠】
他の日本人のブログを読んだら、下りを薦めていたが、思索するには、高い山を見上げながら登る登りの方が合っている気がする。エズ村にあった説明板にも、ニーチェは上りながら「ツァラトゥストラ...」を創作した、とある。
【エズ村の入口近くにあるニーチェの道の表示】
車道に着いたら、近くにはエズの駅があり、エズのビーチでもあった。ああ、ここまで下りて来ないとバスに、乗れなかったのだ。結局、約一時間の道のりだった。
「ツァラトゥストラ...」でも、ツァラトゥストラは、何人かの特別に高等な人々と会い、彼らとの交流の中で歓喜するが、最後には、再び山を下山する。まあ、下りも、悪くないのか。。。
結果的には、初めてこの道を歩けて貴重な冒険ができた。自分一人だと絶対に歩かなかった。ありがとう。ガイドブックを持って来ていないことを含め、新鮮で楽しい。
【すっかり日の暮れたエズのビーチ。ここは石ころのビーチ】
YouTubeでのこの本の解説
https://youtu.be/wjYqRCLCM2c
https://youtu.be/bg-E_0aAz9k