パリ徒然草

パリでの暮らし、日本のニュース、時々旅行、アート好き

アルファベットに疲れて お茶とお香と日本の文字

 夏のヴァカンスにairbnbでレンタルしたアパートでのシャワーのガラス破損問題が終わらない。

 

 一ヶ月半経って、急に、airbnbから家主とのすべてのやり取りの記録や破損に関する写真等を送れーというメールが来た。72時間以内に送れーとあった。

 

 予約した時点で1000ユーロの保証金を預けた状態とある。えー、そんなの読んだ記憶ないぞ。それに事故後すぐに、こちらからairbnbにチャットで連絡したときは一晩中ほったらかし、全然返事がない、ことが数回あり、やっとairbnbの担当者と話せても、証拠や記録を保管しろとも言わなかったし、1000ユーロまでは支払う義務がある、という説明もなかった。それが忘れたころになって、これである。

 

 ふう。。。この程度のことでも、訴訟に発展することもあるのだろうか?

 

 でも、この件に関して女友達と話していて、一つ、自分で自分を褒めてあげたくなった。彼女も元々はフランス国籍ではなく私よりずっと早くからフランス在住なのに、国際的企業で働いていたりもしたのに、こうしたフランス語のメールやチャットのやり取り、フランス人の旦那様がしているというのである。間違うのが怖くて書けない、送れない、勇気があるわね、と言われた。

 

 えっへん。ただ、間違ってもいいと思っているだけよ。フランス人だって結構、間違っているからね。

 

 一方で彼女は、フランス語の本をすらすら読んで、楽しいという。私はまだその境地には至れない。フランス語の本をもっと読め、そうしないと語学力伸びないわよ、と言われて、全くその通りと思いつつ、強制するなよ、と思い、日本語でブログを書くことに時間を使ってしまう私。

 

 日本語を書きたくなることだけがね、私が自分を日本人だと思う、日本人としてのアイデンティティーだと思うのよ、ーと私は彼女にフランス語で話した。


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 それに、アルファベットだけの文字を見続けることに、疲れてしまう。そして、主張した方が勝ちー的な訴訟社会であることにも。

 

 「言霊」について最近、しばしば考える。言葉には魂が宿っていると言われる。だから、誰かから奪い取るため、それを防御するための言葉のやり取りに疲れるのだ。

 

 漢字の意味についても考える。宇野正美氏は「犠牲」という漢字について、「牛」と関係があるから「犠牲」はこう書くのですーと説明していた。そんなこと、考えたこともなかった。漢字の一つ一つに意味があるのだ。そう思うと漢字が愛おしい。

 

 映画「日日是好日」(Dans un jardin qu'on dirait éternel)も、たくさんの掛け軸や書が出てきて、漢字の持つ象形文字としての水墨画のような美しさを感じた。

 

 映画を見て家に帰ったら、すぐに、抹茶を点てていただいた。線香も焚いた。映画のシーンが蘇った。そうか、さらに書を書いてみるのもいいかも。。。それは訴訟社会とは全く違う静けさをくれる。


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