パリ徒然草

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鬼は白人だった? 

今週のお題「鬼」

 

 日本の昔話に登場する鬼はどこかユーモラスだったような気がする。私が思いつく物語は「泣いた赤鬼」だ。鬼は怖い、というよりも、どこか寂しがり屋だったり、我儘だったり、情けなかったり、そんなイメージだ。漫画「ドラえもん」にでてくるジャイアンに近いキャラクターかもしれない。

 

 ウィキペディアで鬼の項目を読んでみた。

「鬼の正体が何か」について幾つかの説が唱えられているが、それを大別すれば、鬼が人間の精神活動の(想像上の)産物であるというものと、鬼の原像として何らかの実体が存在したというものに分けられる。鬼の原像として実体が存在したと考える説の内の比較的良く知られて来た説に、1,金工師説 2,白人説

などがあるようだ。

 

 むむむ、白人説? 普段あまり人種を意識していないのだが、「白人が鬼だった」という説を、白人が多い国フランスに住む者として私なりに考えてみよう。


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 ウイキペディアによると、昔の絵巻の中でも、鬼の髪は茶色で、眼も明るい色をしている。赤い肌は日焼けの比喩と考えられる。また、体格も非常に大きい。江戸時代には既に、鬼が海外より日本に上陸した海賊ではないかという俗説があり、明治時代には、やはり俗説として鬼=ロシア人説があった(検証し否定されているようだ)。現代においても鬼の白人説は一部には根強く信じられている。

 

 節分の豆まきのときの掛け声と言えば、「鬼は外、福は内」。「鬼は外」が白人は外ーという意味であるとするのなら、時代錯誤だろう。

 

 普段私は人種を意識していなくて、1人の人として出会うのだが、フランスに暮らすことによって、様々な人種の人と知り合う機会がある。そのことを私は自分の人生にとっての豊かさだと思っている。

 

 自分たちと異型の者、見た目が違う者に対する恐れはどの文化にもあるのではないだろうか。フランスにおける私は、日本における白人のように少数派の立場だが、「鬼は外」と言われることなく同じ人間として暮らせている。感謝している。

 

 今日2月2日は節分。私と白人の夫で、夜に豆まきする予定。日本にも「福は内 鬼も内」という掛け声で豆まきする地方もあるようだ。

 

 18時以降は外出禁止令中のフランス。掛け声は「鬼は外 福は内」か、「福は内 鬼も内」か、悩むところである。鬼は外ーと言って豆投げつけたところで、夫も外に行けないし…。私の中にも、我儘だったり、情けなかったり、鬼的なキャラクターの面もある。