11月20日土曜日。パリのベルシーを出発する衛生パス反対デモに参加した。衛生パス反対デモが始まって19回目の週末。何も知らずに黄色いベスト運動(ジレ•ジョーンヌ)のデモに参加したのだが、それは、黄色いベスト運動の3周年のデモでもあった。
いつもと雰囲気違うなあ、と思った。
私は後方を歩いていたのだが、前方では、発煙筒の煙が上がり、爆弾のような音がしていた。後でYou Tubeでチェックすると、前方では、警察官と緊張する場面があっていたようだ。
RT france 黄色いベスト運動のデモの動画
https://youtu.be/HRwPRdjPQhg
路上のゴミに火がつけられているのを見て、ショックを受け、私は初めて、黄色いベスト運動とは何か、を考えた。それまでは、ただ、アンチ衛生パス運動に参加しているだけのつもりだったのだ。
家に帰って、改めて黄色いベスト運動やフランスの政治について検索して、読んだ。ウィキペディア日本語版の黄色いベスト運動についての解説はとても、長い。燃料税の引き上げ方針をきっかけに全土に広がった運動。運動の手段に、暴動、放火、略奪も書いてある。
"黄色いベスト運動 - Wikipedia" https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E9%BB%84%E8%89%B2%E3%81%84%E3%83%99%E3%82%B9%E3%83%88%E9%81%8B%E5%8B%95
一方で、たくさんのネット記事の中から印象に残ったのは下の2つの記事だった。1つ目は
"デモは出会いの場でもあった フランス「黄色いベスト」運動の隠れた効用:朝日新聞GLOBE+" https://globe.asahi.com/article/13023119
私が出会った黄色いベストを必ず着て参加する人たちは、放火や暴動のイメージはなく、上の記事に書かれたような人が多い印象を受けていた。記事の中に、黄色いベスト運動の「参加者には未婚または離婚した社会的、家庭的に孤独な人が多く、孤独を打ち破る一つの手段として路上に集まっている面がある。ロータリーでの集会は、連帯と出会いの好機だったのです」という分析があった。
運悪く社会的に脆弱な立場に追いやられてしまった人や政治に怒りを抱えている人も、多い印象だった。
もう1つの記事は、
「アンチ衛生パス」運動で揺れるマクロン大統領 自由と進歩が民主主義から遠ざかるフランスの実状 2021年10月17日
的場 昭弘 : 哲学者、経済学者、神奈川大学教授
https://toyokeizai.net/articles/amp/462007?display=b
この記事を夫に、読ませたところ、私がいつも、言っているようなことが書いてあって腹立たしい、最後までは読まなかった、と言われた。苦笑。
「マクロン体制とは既得権益をもつブルジョワジー、政治家、メディアの所有者、弁護士、スターなどの名望家によって人為的につくられた体制」オリガーキー(寡頭制)だとここでは分析されている。納得できる記事だったのでここに紹介した。
この記事にもあるが、黄色いベスト運動は政治運動であるのに、左派でも右派でもない。フランスの極左も黄色いベスト運動と連携できていない。
そして、衛生パス反対運動のもう1つの受け皿は、極右である。「国民戦線」元ナンバー2として前回フランス大統領選で党首マリー•ルペン氏を支え、その後衝突して離党した新党「愛国者」を結成したフロリアン・フィリポ氏が衛生パス反対の集会を呼びかけている。
【写真はすべて11月20日の黄色いベスト運動のデモより】