パリ徒然草

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オランジュリー美術館 スーティンとデ・クーニング 2人の画家の対話

 パリのオランジュリー美術館で「Soutine / De Kooning、具現化された絵画」を開催中。10月に見学した。ロシア出身の画家、シャイム・スーティンChaïm Soutine(1893–1943)と、アメリカの抽象表現主義者であるウィレム・デ・クーニングWillem de Kooning(1904-1997)の約50点を集めている。2022年1月10日まで。

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【ウィレム・デ・クーニング,アミティービル,1971,ジェニファー アンド ダン•ジベール コレクション】


 デ・クーニングは、ジャクソン・ポロックと並ぶ「アクション・ペインティング」の代表的作家であり、抽象表現主義創始者の一人として、20世紀美術史の上に重要な位置を占める。

 デ・クーニングの作品をパリでは見たことがなかった。多くの作品がアメリカから来ている。大作が多く、勢い、力強さに圧倒された。

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【ウィレム・デ・クーニング,マリリン・モンロー,1954,ニューヨーク,ニューバーガー美術館】

 デ・クーニングは、オランダ出身の画家。1926年、22歳で渡米。1950年のニューヨーク近代美術館(MoMA)の回顧展や1952年6月のバーンズ財団で展示されていたスーティンの作品の影響を受け、具象とも抽象ともつかない独自の表現を創り出したのだという。

 デ・クーニングは、1950年代初期から始まった「女」のシリーズが良く知られている。キャンバスに筆で描いたものだが、激しい筆触で、ほとんど抽象に近付いている。

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【ウィレム・デ・クーニング,女Ⅱ,1952,ニューヨーク近代美術館

 一方、エコール・ド・パリの画家、スーティン。歪んだ線など、狂気を感じ、正直、オランジュリー美術館で展示されていても、ちょっと怖い(失礼…)気がして熱心に見ていなかったのだが、こうして抽象表現主義にも、影響を与えた画家として見ると、貧困の中で描き続けたスーティンを再評価する気持ちが高まった。

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【シャイム・スーティン,ベルボーイ,1925,ポンピドゥー・センター】


 1923年1月1日、バーンズ・コレクションで名高いアメリカの大コレクター、アルバート・C・バーンズがギヨームの画廊を訪れ、スーティンの作品に感動し買い上げた。アメリカで展示されたスーティンの作品は大きな衝撃を与え、フランス国内の評価も一気に上がった。

 2人のアーティスト間の対話と国境を越えた美術史の流れを感じる展覧会だった。

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【シャイム・スーティン,緑のマントの男,1921,ニューヨーク近代美術館


オランジュリー美術館による展覧会の動画
https://youtu.be/aZPUA9gr7mo


参照したサイト
ウィレム・デ・クーニング
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AC%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0


シャイム・スーティン
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3