パリ徒然草

パリでの暮らし、日本のニュース、時々旅行、アート好き

安倍元首相銃撃を考える (1) 7月8日にフランスで見た情報

 安倍元首相銃撃事件について考え続けている。私はフランスにいて、西洋の家具に囲まれて、木々から差し込む陽光眩しく、私の周りは憧れていた「夏時間の庭」(L'Heure d'été、2008年、 オリヴィエ・アサイヤス監督)の映画の世界のようなのに、事件を考えず、自分の人生を楽しんでいいはずなのに、事件を調べて、それに対するさまざまな人々の意見や分析を読んで、あれこれ考えてしまう。


 ああ、これが私なりの愛国心というものかもしれない。



 私は、事件当日の7月8日(日本時間9日)、このブログで「またか」と書いた。一報を聞いたとき、CIA(アメリカ中央情報局)か、と思ったのだ。証拠はない。でも、直感がそう言った。

 もっとも、こうした直感は私が読んだ本やメディアの報道等に影響されていないとは言えない。

 例えば、NHKですら放送したCIA元局員のエドワード•スノーデンの証言や苫米地英人氏の著作「洗脳広告代理店 電通」「日本人の99%が知らない戦後洗脳史」等に影響されたのかもしれなかった。

 日本各地に130か所の米軍基地があり、スノーデンが数年前、この米軍基地が要となってCIAが一般人も含めて盗聴していると言っていた。

あなたも監視されているースノーデンの暴露
https://youtu.be/A8sM_LafZqM


2016.08.22 スノーデンの警告「僕は日本のみなさんを本気で心配しています」
なぜ私たちは米国の「監視」を許すのか
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/49507?page=3

 
 苫米地英人氏は「日本人の99%が知らない戦後洗脳史」の中で、戦後70年、アメリカの利益に反するようなことが起きれば、介入できるような仕組みが維持されてきた、鳩山一郎田中角栄小沢一郎などそれを打破しようと動いた政治家たちは冷や飯を食ってきた。彼らは日本のハンドリングを巧妙に行ってきた。ー旨を書いている。
 
 「洗脳広告代理店 電通」の中では、苫米地英人氏は、1949年に電通の上田前社長とUP通信のボーン副社長とともに事故死、上田前社長の妻が絞殺された事件に関連し、証拠はないとしながらも、CIA関与の仮説を展開し、以後、電通GHQの、GHQが帰った後はCIAの意のままであるーと書いている。

 事件当日、私は、以下のブログを書いたわけだが、この前後から情報を探した。ツイッターでは、日本の裏側のフランスにいても、銃撃直前の動画が見れたし、安倍元首相が血のついた白いシャツで寝そべった写真も流れていた。かと言って、その日に自分が得た情報について、そのときに感じたことについて書かなかった。書けなかった。

 

https://clairefr.hatenadiary.com/entry/2022/07/09/071521


 そして、いくつかのブログで、この映像がおかしい、これはクライシスアクターだ、これは茶番だ、たくさんのブロガーたちは、探偵よろしく、分析し持論を展開しているのを読んだ。

 私は、むしろそのことにびっくりした。時代は変わったなあ、と思った。勇気あるなあとも、良くそれだけ自分を信じられるなあとも思った。

 誰が画像を流したのか。どこで拾った画像なのか。写真は簡単に加工できてしまうし、そもそも、この動画や写真は本物なのか。このような情報を流している人もまた、お金のためにやっている可能性はないのか。どこかの工作員が流している可能性はないのか。

 とにかくこれらの人々は、既存メディアを信じていないし、自分も同じように殺される心配をしていないし、発信したことが法を侵していて逮捕や罰金の可能性とか、考えていないようだった。安全な場所にいて、名探偵コナンにでもなったようにエンターテイメントのように楽しんでいるように見える人も、いた。


 安倍元首相も一人の人間だと考えれば、人権や肖像権はどこに行ったのか。家族の身になってみれば、そのような動画を世界中に拡散されることは悲しく腹立たしい。公人とは、このような目に遭う人なのか。


 その後、亡くなったという情報が入ってきたが、お葬式もまだ、終わっていないのに、数人のブロガーや作家が自分が捜査官になったかのように、撃たれた直後とされる写真を載せて、分析しながら、茶番と断定して、世界中に拡散していた。亡くなった方への冒涜だとか、死者への畏敬とか、考えないんだなあと思った。それが職業というなら致し方ないが、ある意味、宗教なき世界である。


 ツイッター社で、日本の首相を長年務めた人が銃弾に倒れる動画、血のついたシャツ等の写真が世界中に拡散されていることが日本人に対する心理的攻撃、日本国への凌辱のようにも、感じられた。そういえば米国のトランプ大統領ツイッターから締め出された話は有名だ。

 しかし、ブロガーの主張やツイッターの指摘にも一理あった。例えば...

1)元首相の演説にたったこれだけの聴衆
(2)元首相の演説に党街宣車も出さない奈良自民県連
(3)SPが警護しているはずなのに、後ががら空き
(4)散弾銃なのに安倍元首相しか怪我をしていない不思議
(5)わざわざドクターヘリで県内の病院へ移動
(6)撃たれた後、近寄る一般人を寄せ付けないようにしないSP

 写真が本物なら、書いていることには一理あるものも多かった。

 さらに、私がツイッターで見た映像が本物だとするなら、動画を見る限り2発目の弾丸も安倍元首相に当たっているように見えなかった。もし、2発目の弾丸が当たったのだとするなら、容疑者の男性が撃った銃とは別の上方から飛んできたようにも見えた。


 奈良県警が銃弾を数日経ってから捜しているという情報にも、驚いた。なぜ、直後に大規模捜索せず、雨が降った数日後に捜しているのか? 周辺のビルや高い場所などの捜索はしたのだろうか。これだけ大きな犯罪だが、特別捜査本部があるわけでもなさそうで、どれだけやる気があるんだろうか。


 容疑者自作の銃で、安倍元首相だけを撃った、他に被害がない、というのも、プロフェッショナル過ぎて、にわかに怨恨による素人の単独犯というのが信じがたい。ケネディ大統領暗殺事件を思わせる。

「1964年に米諜報界(軍産複合体)は、自分たちに楯突いてきたケネディ大統領を殺したが、諜報界はケネディを殺すと同時に、副大統領から昇格して次の大統領になったジョンソンを傀儡化し、冷戦の再燃やベトナム戦争の激化など、ケネディが阻止しようとしたことを思い切りやれるようにした。それがケネディ殺害の目的だった(その後ベトナム戦争は泥沼化し、米国の覇権を自滅させる隠れ多極主義の流れに入り込まれたが)。今回の安倍殺害は、ケネディ殺害に似ている。安倍殺害犯を動かしていたのは米国の諜報界(軍産、ネオコン)である可能性が高い。彼らは、安倍が敷いた日本の米中両属路線を潰すために安倍を殺し、同時に岸田を傀儡化して、安倍の路線と正反対の露中敵視の強化路線を岸田に採らせていくのでないか。」(田中宇氏のニュース解説)

 
 今になって、ふと、陰謀論界隈で知られたトランプ米大統領の発言を思うのである。トランプ大統領は2019年10月7日、ホワイトハウスで行われた日米貿易協定の署名式典であいさつした際、「まず、私の良き友人である安倍晋三首相の誕生日を祝福したい。彼は今日39歳になった」と冗談を放った。あれはどういう意味だったのだろう。