パリ徒然草

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夏のミディ・ピレネーの旅⑤ 中世の面影残す赤い街アルビ


 中世の面影が残る美しい旧市街地アルビ。「アルビの司教都市」として2010年に世界遺産に登録された。アルビは、フランス南部のオクシタニー地域圏のタルヌ川に面した都市。赤レンガ造りの温かみのある建物が多い。

空から見たアルビの街
https://www.albi-tourisme.fr/sites/all/themes/albiot/albi360/?lang=fr


 レンガ造りの巨大なサント セシル大聖堂とベルビ宮殿(Palais de la Berbie)、それを取り囲む古い街並みと、中央を流れるタルヌ川、川に架かる石造りのポン・ビュー橋が一体となった美しい町。


【サント セシル大聖堂と前方のベルビ宮、庭園が対岸から見ると一体に見える】


 私が最も好きなのは、ベルビー宮殿から中庭へと通じる途中、タルヌ川と対岸を一望する場所。フランス古典様式のこの庭園は、手入れの行き届いた美しさから、フランス文化省の「注目すべき庭園」に指定されている。


この庭園は、私が行った2022年8月は、昼間は無料で入場できたが、夜はアルビ出身の画家、アンリ・ド・トゥールーズロートレックをテーマにした光のイベントが行われ有料(1人5ユーロ)で入場できた。

 ロートレック1864年にアルビで生まれ、パリのモンマルトルで創作活動を行い、ポスターの名作を数々生み出した。光のイベントは、3方向の壁に映画のように、ロートレックの数々の絵画を写しながら、その人生を音と映像で約30分で表現。



夏の夜にこのイベントを堪能できる幸せ。宿泊先のアパートまで、徒歩で、帰れるのも嬉しい。



  4泊したので、毎日、夕日が沈む時間にポン・ビュー橋付近を散歩した。ポンヴュー橋は11世紀頃に建設され、フランス最古のアーチ橋の一つ。


 アルビは、中世の時代、ローマカトリック教会が権威をふるった司教都市。街の中央に、要塞のような建物サント セシル大聖堂がある。13世紀から15世紀にかけて煉瓦で建設され、奥行き114m、幅35m、高さ40m、遠くから見ればとても教会とは思えない堅牢な佇まい。煉瓦造りでは世界最大級の教会とも言われる。


 当時、アルビを中心に活動していた異端カタリ派を十字軍遠征で制圧したローマカトリックの権威を象徴する建造物といえる。

 南部ゴシック建築の荘厳な外観もさることながら、『最後の審判』が描かれた身廊の壁画と壮麗な内陣(Le chœur des chanoines、聖職者専用の空間)は必見。 内陣の見学は有料(5ユーロ)だが、日本語もあるオーディオガイドを借りて、内陣にある旧約聖書新約聖書縁の彫刻や天井画などの説明も聞ける。

 ランス、シャルトル、アミアンなどの大聖堂も見学した後だからこそ、この大聖堂の特徴を強く感じた。教会内部に描かれた壁画や天井画の大きさとしてはヨーロッパ最大とも言われている。


【『最後の審判』の壁画】



【壮麗な内陣。有料だが、入るべき】


【内陣にある聖歌隊の天使たちも一体一体表情も持っている物、仕草も違う】


360℃の内陣
https://www.albi-tourisme.fr/sites/all/themes/albiot/albi360/index.html?startscene=6

 前述のベルビー宮殿はルネサンス期から18世紀にかけて建設され、司教たちの住まいに使われた建物。こちらも重厚な牢獄のような建物。現在はトゥールーズロートレック美術館として使用されている。

 
 赤レンガ造りのかわいい街並み。12世紀から13世紀の建物、ルネサンス期の建物などが残る旧市街を歩けば、中世の時代にタイムスリップしたよう。暮らすように滞在して、散策するのも楽しい。