今日は2022年9月23日秋分の日。
秋分の日は、昼と夜の長さがだいたい同じで、日本では先祖を敬う日のイメージ。
私は亡くなった自分の祖母をぼんやり考えていた。80歳を過ぎて90過ぎで亡くなるまで自分の生まれ育った島に帰りたい、帰りたいと話していた。戦後60年以上も生きて、子供を3人育てて、子供の頃だけが幸福で帰りたい場所だったなんて、昭和を生きた日本女性は、なんて可哀想と思うのだが、フランス人の義母は、全く対照的だ。
電話が鳴った。義母からだった。
明朝から友達とともに南仏ニースに向けて出発するのだ。
電話は泊るホテル名とその電話番号の知らせ。
義母は、南フランスのマントンに生まれ、パリに出て4人の子供を育てながら定年まで働いた。ご主人は長く病気を患った後、早くに亡くなった。
最近、義母の90歳の誕生日がもうすぐなので子供たちが故郷マントンへの旅行をプレゼントしようとしたら、「イタリアのヴェニスの方がいい」と言った。
義母は、パリが大好きで、映画、演劇、美術館、散策、レストランなどにしばしば行く。イタリア語も勉強し続けている。
今年8月にブルターニュの違う地方の友達の家(島と海辺)に一週間ずつ行った。海辺に住む友達の家に泊まって「パリと違ってやることがない」と言った。海はあるけど近くにスーパーマーケットもない、冬になればビーチは寂し過ぎると不満を漏らす。友達は足が悪くて坂が登れないから海辺のその家から一歩も出れないのだそうだ。
ニース行きについても「ニースで一週間もやることあるだろうか。カンヌとか、カップフェラとか別の町も廻ろうか」と心配している。私はニースには美術館だけで4つありますよーと熱弁を振るった。
義母の告げたニースの三ツ星のそのホテル調べたら、ニースのプロムナードデザングレ沿いにあって、窓の向こうに海が見えた。うわー、まさに夢のホテル。
ここに一週間素敵だなあ。ボン•ボワイヤージュ(良いご旅行を)。
再来年には、私も似たような場所に住んでいる。
[2020年、ヴィルフランシュ・シュル・メール]