パリ徒然草

パリでの暮らし、日本のニュース、時々旅行、アート好き

フレジエの思い出 父の思い出

 すごーい、うま~い😍✨💫🤩。フレジエFraisierを食べたら、うわオーとなった。

 私はお菓子を食べた話は、別のブログを書いているので、このブログ「パリ徒然草」には滅多にお菓子について書かない。それを飛び越えて、書こうと思うほど美味しかった。

 

 

 フレジエ とはジェノワーズ生地にいちごとクリームを挟んだケーキのこと。フランス風のいちごのショートケーキといった感じだが、ムースになっていていちごの断面が見えて華やか。上の面もがマジパンやソースで赤やピンクで、白いホイップクリームのショートケーキより華やかなイメージ。

 

 フレジエは、思い出のあるお菓子。だから、何度も食べたし、少なくとも4回、お菓子のブログ(最近さぼり気味…)では登場している。

 

私のブログ「一日一甘パリ」

https://clairefr.hatenablog.jp/entry/2022/07/12/024554

 思い出について書こう。

 

 数年前、日本から、はるばるやってきた両親を連れて、ベルサイユ宮殿に行ったとき、人混みに疲れてアンジェリーナのカフェに入った。カフェの中も混み合っていた。3人で行ったので、両親2人を座らせて、セルフサービスのその店で、私がモンブラン2つとこのフレジエ1つ、計3個のケーキをお買い上げ、両親の前に置いた。フレジエは最後の一個だった。

 

 アンジェリーナのフレジエ、食べたことがないので食べたいなあと思いながら、お水やお絞りを探しに行っている間に、見事にフレジエがペロリとなくなっていた。

 

 あー、美味しかった!と父が喜んでいた。え、お母さんにもあげなかったの?まるで、子供みたい。

 勝手な私の男女差別的な発想で赤とピンクのフレジエは、私と母が分けて食べるのかな、と思っていたのだ。フレジエは、マリー・アントワネットのイメージのお菓子だなあ。 

 

 あの頃、父は既にまともにご飯が食べられない状態だった。癌の手術で食道がなかったので、パリに来てミニパレというグラン・パレの中のレストランに連れて行ったら、体調が悪くなり、一人で、タクシーでホテルに帰ったりした。凱旋門に登っても、体調が悪くなった。

 そんな父が、ペロリと平らげたフレジエ。そんなに美味しかったんだなあ。

 

 ベルサイユ宮殿から帰って来た後は、3人でセーヌ川沿いを散策した。父が提案した。父にその元気が残っていた。夕日に暮れなずんでいくセーヌ川

 

 あの、フレジエのおかげかもしれなかった。

 

 私は誕生日のケーキも食べさせてもらえない状態で大人になった。10代の私が自分や弟の誕生日のためにケーキを作ろう、とすると、母に台所を使うなと怒られる始末だった。

 

 でも私の父の人生はもっと酷かった。誕生日のケーキどころか、10歳からリヤカーを引いて働いてたとしばしば話していた。子供へのケーキがなかったのも、父も母も、子供の頃貧しくて、そういう経験がなかったのだ。

 

 父が一瞬だけでも、子供のように見える瞬間があって良かったと今、思う。誕生日のケーキ食べたことがなかったであろう父に、ベルサイユのフレジエ食べさせてあげられて良かった、と今日、思う。

 

  そして、今、ケーキは誰も買ってくれないなら、自分で買おうと思う。太っても、気にしない。子供の頃のリベンジ。食べたいだけ自分で買って食べるのだ。

 

 さて、そんな私がうわオー、となったフレジエは、ユーゴ アンド ヴィクトール(HUGO & VICTOR)のフレジエだった。そのフレジエが今日のブログを書かせたのだ。

HUGO & VICTOR

 40, Boulevard Raspail 75007 Paris)