パリ徒然草

パリでの暮らし、日本のニュース、時々旅行、アート好き

写真には写らない美しさ

「ドブネズミみたいに美しくなりたい。写真には写らない美しさがあるから」。

 

 日本のパンク・ロックバンド、ブルーハーツのこの歌詞が頭の中でリフレインしている。

 

女優の宮崎あおいさんがこのフレーズを歌うCM

https://youtu.be/3zL7kq2HuGI

 

 美しい景色満載のコート・ダジュール。うわ~、うわ~、うわ~、と、写真を撮りまくりたくなる。だけれども、私は何度もここに来て(コート・ダジュールには15回くらい来ている)、写真も何100枚も撮り、携帯電話の待ち受け画面もコート・ダジュールのビーチなのだけれど、だからこそだろうか、写真をたくさん撮るのはいいけれど写真には写らない美しさがあるなあ、と思うのだ。

 

 8月3日午後、ヴィルフランシュ・シュル・メールのビーチにずっといた。気温は30度以上で海水浴日和だったが、風と波が強かった。無理に泳がなくてもいい。海を眺めてぼんやりしているだけでもいいのだ。やっと私も、何もしないフランスのヴァカンスの仕方が身について来たようだ。

 

 そして、美しいと思うからって写真を撮りまくらなくていいのだ。ただ、そこで、ぼんやり眺めていていいのだ。きれいでしょ、とSNSに挙げて、リア充を誇示しなくて、いいのだ。

 

 ヴィルフランシュ・シュル・メールの街の対岸のビーチ、plage des jeunes.泳ぐと、オレンジ色のヴィルフランシュ・シュル・メールの町並みと青い空と青い海のコントラストが素晴らしい。これは、スマホで写真には撮れない。だって海の水の中で見ているのだから。

 

 帰りは、そのビーチから階段や坂を登って、Ange gardienというバス停でバスを待った。Ange gardienとは、フランス語で、「守護天使」の意味だ。

 

 「ドブネズミ」を想起したきっかけは、パリの自宅に、ネズミが出現したからだった。残念ながら、美しいとは思えない。ネズミと一緒に寝ているかと思うと、眠れなくなった。ネズミ退治を思うと頭が痛い。

 

 しばし、パリでのストレスを忘れよう。写真を撮っている暇なんてないのだ。今、この瞬間を味わおう。味わい尽くそう。

 

 そして、守護天使さま、どうかネズミからお守りください。