パリ徒然草

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「戦争」と恐怖を煽るより「マスク」と「免疫力」を

 トイレットペーパーも、パスタも、パスタソースもスーパーから消えてしまった。4軒のスーパーを回ったが、見つからなかった。次は金曜日の入荷だと言う。

 普段は1軒か2軒のスーパーだけで買い物は終わるのに、ないものがあるせいで、スーパー巡りが仕事になった。新型コロナウイルス感染予防のために外出禁止令の本来の目的は人との接触を避けることだ。

 だが、スーパーに出かけて、次の入荷を聞く。レジの女性は手袋もマスクもしていなかった。そして、いつものように、質問に直接答える代わりに「開店と同時に10個買い占める客が来たのよ」と、話を始める。フランス式コミュニケーションはまだ健在だ。
 あるスーパーでは、入店制限のために、ガードマンが扉を開けてくれて、彼のマスクをしていない顔が私の顔にかなり近づいた。そんなことはパリに長年住んで始めてだ。スーパーもまた、感染場所になりそうで怖い。

 街を歩いていると、私に道を尋ねた人がいて、つい普通に答えてしまった。外出することそのものより、こうした人との接触が感染拡大のリスクを高めてしまう。では、道を教えた、私は罰則の対象なのか。本日の人との接触は、外出禁止令前より少ないとは言い難い結果となった。

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(マスクした人も増えてきた。でも、私は薬局で3週間前からマスクを探しているが、手に入らない)

 人々はなぜ1メートル離れるべきか分かっているのか。マクロン大統領もフィリップ首相も1メートル離れるべきだと言うけれど、コロナウイルスの感染の仕方についてもっと説明が欲しいと思ってしまう。バスの中で、座っているすぐ横を、携帯電話で大声で話しながら、見知らぬ男性が通り過ぎる。1メートル離れているかどうかでは、ない。私はその男性の口から、飛んで来る飛沫が怖い。フランスでは、マスクは予防に意味がないと言って、薬局でもマスクは手に入らない。病気の者だけがマスクすべきだという考えなのだ。3月初めに薬局に注文したが結局手に入らなかった。

 だが、コロナウイルスは無症状でも感染している例があり、全員検査したわけではないので誰が感染しているのかも分からないのだ。論理的に考えれば、全員がマスクするべきではないのか。自分を守るためでなく、飛沫を他人や物に飛ばさないために。

 マクロン大統領は、これは「戦争」だと繰り返した。日曜日に太陽の下で談笑し合っていた人たちに、もっと真剣に考えて欲しいのだろうが、恐怖を煽らないでほしい。戦時中に食糧に困ったことを思い出させないで欲しい。そのことが買い占めなどの行動に走らせていないか?

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(薬局で買ったアルコール消毒液。これも今ではなかなか手に入らないらしい)

 日本の情報で見るのに、フランスでは、見ない情報がある。感染の仕方についての情報。飛沫感染接触感染が主だと言われている。また、閉じられた空間に大勢が一緒にいることもクラスターの原因になるようだ。恐怖を煽るより、正しい情報を伝えて欲しい。誰もが理解して気をつければ、避けられることがある。

 日本で良く見るのに、フランスで見ない情報に、免疫力を高めようという運動もある。日本では、免疫力を高めるため、食べ物に気をつけよう、笑顔でいよう、という機運がある気がするが、フランスでは見かけない。「戦争」と言うと、緊張し、何かに勝たないとと肩に力が入る。その道の専門家たちには頑張ってもらわないといけないが、急に自宅にこもる羽目になった多くの人は、外出後はまずは石鹸で手を良く洗おう。フランスは農業国。発酵食品でからだにいいチーズも美味しい。美味しいフランスの食材を自分で調理して、バランス良く食べ、元気でいよう。時には太陽の下、野外を一人で走ろう。元気でいることが結果的にウイルスとの闘いに勝つことになるのだ。