パリ徒然草

パリでの暮らし、日本のニュース、時々旅行、アート好き

自分に喜びを与える物に集中する

 しばらく落ち込んでいたが、随分復活した。せっかく落ち込んだので、今回の件から、考えたことを書いておこうと思う。


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 「ヒトラーの本読むな」問題の本質は、日本とフランスの近現代史教育、歴史観の違いや国による表現の自由の違い、タブーの違いに、つながるのだろう。

 

 人がいる集団にはいつも悪と呼ばれるものがあるが(悪の普遍性)、何を悪とするかは、場合によって、集団によって異なっている(悪の多様性)。

 


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 例えば、数日前にフランスのテレビのニュースで見たのだが、ある外国人がフランス国籍を取得しようとしたら、その外国人が長時間働き過ぎているという理由で、国籍を取得できなかった。労働者の健康が守られないと言う理由だった。日本国がこういう理由で国籍取得を却下するとは考えにくい、と感じた。

 

 現在は、私自身が、フランス国という集団の中の新参者なのだから、ある程度これまでの考えを変え、合わせて行くことは今後も求められるのだろう。


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 一方で、私自身は、自分が読みたいどの本についても、知る喜びとともに前向きに読みたかっただけである。先日、私がフリーメイソンについて書いたのを読んだ友達が若いときに読んでいたんだよ、と言って、持っていた澁澤龍彦氏の本「秘密結社の手帖」(1984年)を日本から好意で送ってくれて、10日あまりで届いた。手に取ったときのワクワク感が凄かった。

 

 頁をめくると、グノーシス派、マニ教...。ちょうどこういうの、全部知りたかったんだよねー。ありがとう。嬉しーい。

 

 でも、興味ない人には興味ないし、怖いと思う人すらいるのだろう。夫にも興味ないから話さないでくれ、と言われた。そんなことを知ることに時間使うなー、何になるんだー?って人もいるんだろうな。


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【上の2枚の写真は、薔薇専門のお花屋さん Au nom de la rose】

 

 YouTubeを聞きながら、いくつか自分の気持ちに、ぴったり来る言葉を見つける。すべての言葉がぴったり来るわけではない。

 

 「外界で自分と共鳴できないものに出会ったとき、できるだけ短く離れ、侮辱を甘んじて受け入れ、自分に喜びを与えるものに集中する」

 

 うん、今の私にぴったりの言葉に出合えた。これからはそうしよう。

 

 「運がいい人が言っている口癖2選」という動画もしっくり来た。

「いいやー、やめとく」(断るスタンスの言葉)

「よし、忘れよう♪」

 

 へー、なるほどー。これもぴったり来たー。特に動画の人がにっこり笑いながら、軽く断っているのが素晴らしい。断るの、苦手なんだよな、すごーくエネルギーが必要で自分を消耗してしまう。

 

 言葉というものもぴったり来る人は人それぞれなのだ。タイミングにもよる。YouTubeやネットやテレビだったら、合わないと思ったら、さっと消して次を選択して、次に行けるのに、実際に私に話している人だったらその辺がややこしい。

 

だからこそ、

うん、よし、忘れよう♪

 

 音楽についても、好みやタイミングがある。今、マイブームの音楽は1996年発売のアルバムに入っているピアニストのウォン・ウィン・ツァンの「ドーヴィル海岸」。お風呂に入りながらこの曲を聴いていると、ノルマンディーのドーヴィル海岸も思い出すし、ウォン・ウィン・ツァンのコンサートで舞台の上でピアノを聴いた(最後の方の曲は観客全員舞台に来ていいですよ、というコンサートだった)あの瞬間を時空を超えて思い出す。

 

https://youtu.be/jd21IOFo55c

 

 

 今日の写真は2日前の夜、5区を歩きながら撮った。この写真を撮りながら、私はうきうきしていた。ああ、花屋さんが普通に開いているだけで、こんなにも嬉しいんだ、と足取りも軽かった(再ロックダウン中、花屋は開いてても、花を外に鮮やかに飾らず、半分扉が閉まっていて予約による引き取りだけ受け付けていた)。


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 パリ5区のクリスマスの飾りが、日本の絵本「モチモチの木」を思い出させた。そんなことを考えるのは世界中で私だけかもしれない。そしてそれで良いのだ。自分にしか分からない喜びの中でそう思った。


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