パリ徒然草

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映画「ラビ・ヤコブの冒険(直訳)」 73年フランスの大笑いコメディ


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 1973年フランス映画「Les Aventures de Rabbi Jacob」(直訳すれば「ラビ・ヤコブの冒険」)。夫の家族にお借りしたまま、1年以上、見ていなかったDVD。やっと見た。見たら、数日頭の中でこの映画音楽がリフレインしている。

 

 夫は20回くらい見た、と言いながら、また見て大笑い。フランス人が腹かかえて笑える大人気の傑作コメディのようだ。私は、ひょうきん族とかドリフターズをなぜか思い出した。

 

 3つの話の流れがあるドタバタ劇。


1つは、ニューヨークに住むユダヤ教のラビ、ヤコブと助手がパリに住む親戚のユダヤ教成人式に参加する。


2つ目は、経営者で人種差別主義者ヴィクトール(ルイ・ド・フュネス)が娘の結婚式会場を目指す。

 

3つ目が、次期首相を狙うアラブ人スリマーヌの殺害をもくろむ対抗組織のフュネスたちの抗争。

 これらの話が、絡み合う珍道中である。ヴィクトールとスリマーヌがラビたちのようなユダヤ教超正統派の黒ずくめの衣装を着て変装し、入れ替わることでさらなるドタバタ劇が起こる。数々の偶然、勘違い、聞き間違いなどがおりなすコメディ。
 行く先々で大騒ぎばかりにもかかわらず、しっかり3つの話が絡まって、話に矛盾がない。


 特に、ヴィクトールやフュネス一味がチューインガム工場で、製造過程の液体ガムのタンクに落ちてしまい、全身緑色になりながら繰り広げるドタバタは大笑いすること間違いなし。

 

 ラビと入れ替わったカトリック信者ヴィクトールとイスラム教徒スリマーヌが、マレ地区のユダヤ教シナゴーグヘブライ語聖書にもとづく祝福の儀式進行に四苦八苦する面白さ。変装がばれないのか、見てて手に汗。さらに唐突に始まるユダヤ・ダンスシーン。コメディながらも、テンポ良く、カッコいい。

 

 後半では、ヴィクトールの運転手だったユダヤ人サロモンがアラブ人スリマーヌの逃走を手助けし、ヴィクトールから「もともと同じ名前だし(サロモンとスリマーヌは同じ名前の言語違いだ!)」と、促されて2人がガッチリ握手するシーンもある。このドタバタを経たことによってヴィクトールの人種差別が改善されたというありがたいおまけ付き。

 

 この映画のヒットの原因はユダヤ教の風俗だけをコメディにしたのでなく、多くのカトリックのフランス人の中にもあるであろう人種差別的視点をも笑いに変えたところなんだろう。ヒットしたフランスのコメディ映画「最高の花婿」(Qu'est-ce qu'on a fait au Bon Dieu ?、2014年)に通じるものを感じた。

 

 最後のシーンに出演するヴィクトールの娘役は若かりしミウミウで、花嫁姿がとても美人。ネタバレしまくっているが、ラストだけは書かないでおこう。これがエンドって、日本映画じゃ絶対あり得なくて、フランスっぽい、と思った。

 

 ウィキペディアを読むと、73年にはこの映画に抗議するエールフランス航空のハイジャック事件があった、とある。

 邦題は「ニューヨーク←→パリ大冒険」。日本でも昔、テレビ放送されたことがある。

 

  ニコニコ動画で見れる。

"ニューヨーク・パリ大冒険 10-1 - ニコニコ動画" https://sp.nicovideo.jp/watch/sm17282276

 

"ニューヨーク←→パリ大冒険 - Wikipedia" https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%A8%E3%83%BC%E3%82%AF%E2%86%90%E2%86%92%E3%83%91%E3%83%AA%E5%A4%A7%E5%86%92%E9%99%BA