パリ徒然草

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白い石の静寂の世界 鉄格子の向こう

 コンフィヌモンになって以降、パレ・ロワイヤル庭園の一部は閉まっている。現代美術の芸術家、ダニエル.ビュラン(Daniel Buren)の作品、レ・ドゥー・プラトー(Les deux Plateaux)すなわち白黒のストライプの円柱のあるスペースなどには、立ち入りできない。


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 開放されている庭は、木々が繁り、花が咲き、大勢の人で賑わう。それとは対照的に鉄格子の向こうは、白い石の静寂の世界だ。


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 建物の中にはフランス文化省、国務院(Conseil d’État)、憲法評議会(Conseil constitutionnel)がある。

 

 ふと、渋沢龍彦氏のエッセイ「城と牢獄」を思い出し、鉄格子の向こうとこちら側、どちらが牢獄に近いのだろう? と考えた。


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 日本帰国を考え、調べているが、新型コロナウイルスに関連して、厚生労働省のホームページを見ると、帰国後14日間は、公共交通機関が使えず、航空機(国内線)にも乗れない、とある。さらに、フライトを調べると、パリから羽田までの便しか見当たらない。地方在住者はどうやって帰れ、と言うのだろう。

 

 関東圏内の15泊16日の宿泊施設の見積もりを出してもらったが、1番安くて10万円からである。さらに、16日間、一人で何をすれば、いいのだろう。フランス人である夫は入国できない。一緒に日本に、行くことができない。日本から、遠く離れてしまった。

 

 やっぱり、こちら側が牢獄だろうか。石造建築の国、フランスに閉じ込められてしまった。


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