パリ徒然草

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ロックダウン(封鎖)の前にこれをしろ②日本の行政ヘ 遠隔医療で医療体制と患者を守ろう。せめて70歳以上のグループでの運動は辞めさせて

 フランスでは現在、通院医療は遠隔医療中心になっている。フランスではかかりつけ医を持っていることが多く、初診は専門医ではなく、一般医を受診するのが普通で、現在は、直接医者に行かず、症状がある人は、かかりつけ医と電話やインターネットでやり取りするよう推奨している。

 知り合いの医者は電話やテレビ電話の遠隔医療だけ受け付けているようだ。それは医者にとっても感染リスクによるストレスが少なく、医療体制が守られるものでもある。患者の側も院内感染を恐れている。テレビで複数の医者が所属する診療所は、ガラガラで、受診者がいないと報道していた。

 私がお世話になってる診療所は、いくつもの部屋があり複数の医者が待機しているので、待合室は、いつも5、6人の患者とすれ違っていた。この診療所は、3月2日に新型コロナウィルスの情報、気を付けるべきこと(手洗いや人に向かい合うときのマスクの装着の推奨など)とともに、テレビ電話などの遠隔診療の推奨のメールを送ってきた。最後に電話番号とインターネットのサイトのアドレスが表示してある。

 この診療所は3月16日の大統領の外出制限令の演説の直前には、テレビ電話での診察を優先するとし、対面での診療は数週間後になるだろうと書いたメールを送ってきている。


 日本でも遠隔医療を推進していてほしい。また、この時期、持病のある人に、少し薬を多めにあげておくことはできないものだろうか。出かけるなと言われても、薬を飲まないと症状が出る人たちもいる。外出禁止令や封鎖といっても、そうした人にとって薬を飲めないのは危険すぎる。一方で持病がある高齢者が感染を恐れながら医療機関に行かなければならないのも、ストレスになる。逆に言うと、いきなりの都市封鎖や外出制限の前に、遠隔医療を先に勧めておくべきだ。

 日本では4月8日から学校が再開される。学校再開ということは、地域の生涯学習の場であるふれあいセンター(公民館)も再開するようで、日本にいる70歳を超えている母は、地域のふれあいセンターに、体力づくりの体操の集まりに4月半ばに行くことを楽しみにしている。メンバーは30人程度。新型コロナウイルスのため自粛ムードになって既に一か月以上。レストランにも行かず、家に籠っている母はその集まりを心待ちにしている。楽しみを奪うようで申し訳ないが、70歳以上の致死率がイタリアでは9.3%という情報を見て、私は行かないでほしいと祈るような気持ちでいる。
 イギリスは16日、70歳以上の持病のある人を家から出さないことでこの問題を乗り切ろうとした。現在ではそういった方に薬や食料を届けるボランティアを募集している。受け渡し時も二メートル離れないといけないようだ。結局、現在では、イギリス政府も、新型コロナウイルス対策としては高齢者の隔離だけでは乗り切れない、と判断し、レストラン等も閉め外出制限フランスに近い措置を取っている。

 閉鎖空間でのグループでの運動はクラスター(集団感染)発生の一例でもある。日本でもジムや卓球場でクラスターが起こっている。高齢者がグループで室内で健康体操。。。クラスター発生の危険のある3密空間が思い浮かぶ。なんとか、辞めてほしいが、強制力はないので、私には情報を送って、しないでほしいと言うくらいしかできない。「窓を開けてするから大丈夫よ。気を付けてやるね」と母は、明るく言った。

 健康になろうと運動する人ほど、長生きはできないイメージがある。私のようにぐーたらな方が長生きだけはできるのかもしれない。