パリ徒然草

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亡くなった人を悼む時間 家で祈る、家で想う

今週のお題「おうち時間2021」

 

 2021年春、家にいながらにして、亡くなった人を悼む時間を過ごすことになった。

 

 それは、遺骨は、ないけど、自分で祭壇を作って、思い出す、花を飾る、であったり、メールや電話で縁の人と連絡を取るであったり、手紙を書いて送る、であったりした。ネットを使って、果物や花を届けるであったりもした。

 

 急な亡くなり方だったので、死因について、考えたりもした。初め、本人が電話で、食欲がないと言っていたことから、うつ状態による餓死に近いのかと思い、果物でも送っていればと後悔したのだけれど、警察による検視と解剖結果を聞いた話と私なりの考察によるとお風呂での事故だったようた。

 

 いくつかネットの記事を読むと、日本では、欧米に比べてお風呂で亡くなる65歳以上が、多いのだという。世界第一位ともある。年間約2万人と推計、交通事故の6倍と書いている記事もあった。

 

 昨日、お風呂の楽しみについて書いたばかりなのだが、お風呂は死の危険のある、怖いものでもある。風呂場は家の中で最も危険な場所でもある。

 

 主な死亡の原因は、温度差によるヒートショックによる脳梗塞心筋梗塞、浴室熱中症による溺死のようだ。予防策は、1、湯船に浸かるのは40度以下のお湯、10分以内にとどめる、2,入浴前にコップ一杯の水を飲む、3,浴室や脱衣場を暖房で温めるーなどになる。

 

 フランスのテレビで、高齢者用のシャワーブースのCMを見たことがある。湯船のある風呂をシャワールームに改装し、ご老人の「これで安心ね」の一言で締めくくられるCMだ。義母も、湯船のスペースを約2年前にこうしたシャワーブースに改装した。

 

 

 お風呂好きの私は、何度も、このブログにも、湯船に浸かる話を書いてきたし、湯船をシャワーに改装するなんて、もったいないと日本独特の風呂文化の中で思っているのだが、40代、50代でも、上記の危険はあり、特に一人暮らしだと発見が遅れることがあり、重篤化の危険性は高まるので、注意してほしい。

 

 ちなみに私の知る亡くなった人の場合、温度調節もできる最新の風呂の設備で、暖房も完備。健康食品、ローヤルゼリーなども買い込んで毎日、摂取していた。

 

 一方で、ある日突然、その宛先に手紙を送ることができなくなってしまう。その人にと思って、準備していたチョコレートを送ることができなくなってしまう。自分自身のショックと寂しさを紛らわせるために何ができるだろう。

 

 祭壇を作ったことが私にとっての一つの救いだった。


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 ご存知だろうか?フランスでは、生活非必需品の店は閉まっているのである。店に行き、何でも選んで好きな物が手に入る状態ではない。少なくとも、デパートの洗練された生活雑貨売り場は閉まり続けているし、スーパーmonoprixも一部商品は売ってくれない。

 

 祭壇に置いた写真立ては、義姉さんに頂いたもの、友人が送ってくれたお線香や口砂香、拾った花瓶、私の結婚式のときのウエディングドレスの裾を使った。キャンドル2つを使い切った。次はクリスマスプレゼントに頂いたキャンドルも使おう。


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 敷き物、これに合う色の物がないなあ、絹がいいなあ。ああ、そうだ、スカーフを敷こう。1ユーロだから、と、10枚以上、いろんな色を買っておいたスカーフ、写真の背景のモネの睡蓮の絵にあった色を見つけた。

 

 インド旅行を最も良かった旅行だと、楽しそうに語っていた人だった。インドのシルクだったはずだ。

 

 生花や果物以外、家に、あるものだけで、祭壇を作れて、ああ、ここに、あるべきものはここに、あってくれたのだと思えた。そして、それらは自分が買った物ではなくて人から頂いた物だったりして、人に、支えられて生きていることを感じる機会ともなった。

 

 世界中で、たくさんの人が家の中で祈っている。日本にいる、ある中国人が、新型コロナウイルスの影響で実父の葬儀のため中国に帰りたくても帰れなかったとネットの記事の中で語っていた。

 

 数日前に、イスラム教のラマダンについて、書いたとき、10キロ圏内を移動できないせいで、モスクに行けず、家でお祈りするしかないイスラム教徒の話を私は他人事として、読んだが、結局、自分が今、そうしている。

 

 祈ることや悼むこと、その人を想うことは、本来、こうして一人でもできることである。だけれども、葬儀等に参列しなければ、面と向かって、その悲しみを共有する場を持てない。悲しみは、体全体で表現するものだと思う。Zoomの画面で顔だけ見せながら話せばそれが同じことだとも思えない。

 

 新型コロナウイルスの影響で、世界中にいる家で祈るしかない人と、その、行き場のない思いを共有したくて、今日の日記を書いた。

 

【私が読んだ風呂場での死亡事故についての最近の記事】

https://diamond.jp/articles/amp/267685

 

https://news.yahoo.co.jp/amp/articles/db680dac12d7aee5baa8ad79635459ef75faeb98

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/2c7254b21f3b0f204437a4432a641af480479d5d