パリ徒然草

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コロナと共生 「戦争と恐怖を煽るよりマスクと免疫力を」は今日の私へのエール

 このブログを2020年3月17日から書き始めた。新型コロナの影響で17日火曜正午から15日間の第一回目の外出制限となった。カフェ、レストラン、デパート、公園、美術館すべてが閉まっていた。その15日間書いてみようと思ったのがきっかけだった。

2020-03-17
新型コロナ 「祝祭」を失ったパリ
https://clairefr.hatenadiary.com/entry/2020/03/17/102315

 
 もっと深く言うと、書き始めた理由の一つに、マクロン大統領がTV演説で前日の3月16日に新型コロナウイルスに関連して「戦争、戦争、戦争」と6回発言して、ショックを受けたというきっかけがあった。誰もが不安になっているこんな時に「戦争」「戦争」言うなよーと思い続けたのが最初のころの原動力だった。

2020-04-02
マクロン大統領がナポレオンに見えてみたり
https://clairefr.hatenadiary.com/entry/2020/04/02/053512

 結局のところ、私とマクロン大統領では、「戦争」についてのイメージが違い過ぎたのだ。私のイメージする「戦争」は「原爆」であり、日本の敗戦であり、祖母や叔母、叔父たちから聞いた原爆の話であり、食料のなさであり、市民が被害を受け、孤児がうまれるイメージ、罪のない子供たちが死んでいくイメージ、だから避けるべきものであった。

 それに対して、2020年4月2日のブログで引用した社会学者Michel Wieviorka 氏が言うように、マクロン大統領の「戦争」と語る演説は、社会共同体の統一を前提としたものだった。敵を作る「戦争」の前に、一つにまとまろうと国民を鼓舞するものだった。権力の側の隠蔽を許容する危険性も孕んでいたと思う。

 ちなみに、上記の日記を書いていた2020年3月ころ、フランスではWHOの勧めに沿ってマスクは有害だとされており、マスクを付ける人は少数派だった。日本では手作りマスクで防護しようと頑張っていた。


 「戦争」と聞いて心躍る人もいれば、参戦しようと考える人もいれば、「戦争」を金儲けの手段と考える人もいる。心が高揚する人もいる。同じ言葉でも、イメージはそれぞれ違っている。この2年間の中で本を読んだり、情報に接して、感じたことでもあった。


 一年後の3月にこの日記を書いた。

2021-03-18
ブログを書いて1年
https://clairefr.hatenadiary.com/entry/2021/03/18/060809


 このときも私は2020年3月16日のマクロン大統領の「戦争」6回連呼について触れている。一方で、「価値観が違ってもああそうなのね、とそっと離れる、もし、ただ、それだけのことをすべての人が、できれば、争いはないだろうに」とも、書き、この前後からだろうか、自然と私は一般的メディアの情報から離れるようになった。

 一方で、新型コロナについてあまり書かなくなっても、タイトルの「新型コロナが世界を変えた」は変えなかった。初心忘るべからず、の思いからだったかもしれない。


戦争と恐怖を煽るより「マスク」と「免疫力」を
https://clairefr.hatenadiary.com/entry/2020/03/18/064454

 2020年3月18日の日記だ。書き始めて2日後の日記だ。

 今日は2022年4月23日。夫が新型コロナ陽性患者になった(昨日受けた抗原検査でも、まだ、陽性だった)今、このタイトルの言葉「戦争と恐怖を煽るよりマスクと免疫力を」は、今の私に必要な言葉かもしれない、と思う。家の中に新型コロナがいると知った状態で一週間が過ぎた。恐らく10日前くらいから新型コロナウィルスとともに暮らしている。新型コロナは文字通り身近なもの、共生するしかないものになった。

 淡々と家の中でもマスクをして過ごすのが良いと思う。家の中が戦場のような緊張した態度で過ごしたり、心が落ち着かなくなるのに戦争のニュースばかり追いかける時期ではないと思う。


 ちなみに夫は、新型コロナ陽性で、まだ、咳もしているが、今日から仕事に行き始めた。フランスの制度では、隔離期間一週間を過ぎれば、新型コロナ陽性でも、職場で仕事をしていいらしい。健康保険が一週間しか面倒みてくれないということでもあるのだろう。

 夫は、医者や病院の予約を取って診断書を書いてもらって休もうと試みたが、既に予約がいっぱいで診断書がもらえそうにないので出勤することにした。(さらに、夫は3回目のワクチン接種によって腕が痛いままだ。早く医者に相談すべきだと私は言い続けて来たのだが)。

 フランスのこうした仕組みに、結構、びっくりした。私の方がいろんな情報に洗脳され、コロナが怖い、怖いと思いすぎていたのかもしれなかった。もしかして、今、夫といるとき、家で、付けているマスク、要るのか、要らないのか?

 そして、明日はフランス大統領選の決選投票日。
 現職のマクロン大統領か、極右政党のマリー•ルペン氏か?世論調査ではマクロン大統領の優勢が伝えられているが、結果はどうなるだろう。