今秋、パリで2回も秋刀魚を食べた。結局のところ、パリでも秋刀魚が食べられたのだった。
オペラ地区の「やすべえ」というレストランである。炭火焼の店だ。秋刀魚は全く日本の秋刀魚と同じ味だった。ここは刺し身も絶品だ。最高である。
私はパリの魚屋では秋刀魚を見かけたことがない。フランス語で秋刀魚は、Balou du Japon という。Japon(日本)がついていること自体、日本だけで食べている魚なのだろうか、と思ってはいた。
https://cuisine-japonaise.com/aliments_poissons-et-fruits-de-mer/sanma-balaou-du-pacifique/
それも、そのはず。上のフランス語のサイトによると、フランスの市場で秋刀魚は取り扱っておらず、パリの日系や中華の食料品店で冷凍の秋刀魚が買えるとのこと。
冷凍を見つけたとしても、家の台所に魚焼きグリルも換気扇もないので、家でフライパンで焼くのも臭いが部屋に充満しそうで気後れする。
去年の秋、日本の田舎で、レストランに向けて、走って、走って一匹の秋刀魚を2人で分けて、食べた経験を思い出した。母とフランス人の夫とレストランに向けて走ったのだ。タクシーを探しても見つからず予約の時間に遅れそうだった。
そして、到着してすぐに、秋刀魚定食を2人分注文したら、秋刀魚定食はもう1人分しかないーと言われ、母と分け合った。走って良かった。あのとき、走ったから、分けて食べることができた。後からすぐに入店した客は、秋刀魚定食を売り切れだと、断られていた。
3年前の11月は新型コロナのため、レストランに入店することができなかった。
6年前の11月は父を亡くし、日本に急遽、短い期間帰国して、父が亡くなった病院に挨拶と支払いに行った帰り、父との思い出のレストランで母と魚の煮付けを食べたが、そこに秋刀魚はなかった。後に秋刀魚を食べる時間はなかった。
何気なく食べた秋刀魚定食。実は、とても、とても、有難いものだった。(数日前、魚は、家で調理して、食べるからレストランで食べなくていい、と書いたのを撤回します。ごめんなさい)ありがとう、ありがとう、やすべえさん。
やすべえ
9 Rue Sainte-Anne, 75001 Paris
去年日本で食べた秋刀魚
https://clairefr.hatenadiary.com/entry/2022/11/10/062350