すき焼きを作った。
すき焼きの材料はパリのメトロ•ピラミッドの近くの食料品店に行けば、すべて揃う。私はすき焼きの肉はKマートでEntrecôte(アントルコート)の薄切り肉を買っている。アントルコートは170グラムで7ユーロ以下だった。アントルコートはビーフステーキに使用される牛肉の内、最高級の部位の一種を指す。
材料を揃えるのが、調理以上の1つの仕事かもしれない。
夫が火を使うカセットコンロを使うのは火事が怖いと許さないので、鍋を作るために1口の電気コンロを買った。その後、パリの材料でいろんな鍋に挑戦してみたが、今のところ、すき焼きは一番手軽で失敗もない感じがある。
今回はしらたきの代わりにマロニーを入れてみた。マロニーは火力の弱い一口コンロではなかなか煮えなかった。別に下茹でしておくべきだった。
いつもは入れないカブも入れてみた。ナベ マルトーnavet marteauという白いカブ。長いダイコンよりずっと小さく、少量で買えるので、私はこのナベ マルトーをダイコン代わりにすることがある。
もやしも少し入れた。
すき焼きには白菜を良く入れるし、玉ねぎを入れたこともある。シイタケは必ず入れるが、夫がエリンギとエノキダケが嫌いと言ったので、入れなくなった。
豆腐は日本では50円程度でも売っているかもだが、パリで日本の豆腐を買うと3ユーロ以上するイメージなので、私は中華食材店でフランスの中国企業が作る1ユーロ以下の豆腐を買っている。
湯豆腐では絹豆腐が美味しかったが、すき焼きなら木綿豆腐、できれば焼き豆腐の方が良かった。
シイタケやポワローねぎは私は八百屋かBIOの店で買う。
今回の材料費2人分は15ユーロ以下だった。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%81%99%E3%81%8D%E7%84%BC%E3%81%8D
ウィキペディアのすき焼き論が面白い。北大路魯山人曰く、すき焼きとは「まず食べたいだけの肉を焼き、それを絶妙のタイミングで食べ終えてから、食べたい分だけの野菜を入れ、少量のだしを注ぎ、味付けして煮る」ものらしい。この作り方聞いたことがあって試したことがある。でも私は最近は醤油と砂糖とだしで割り下を作って、割り下の中に肉や野菜、豆腐を入れて煮ている。
私の実家のすき焼きの家訓は牛肉に火を通しすぎるな、牛肉は炙った程度で食べろ、だった。
ウィキペディアによると、フランスの記号論の哲学者ロラン・バルトは『表徴の帝国』で日本には中心が不在と語ったが、その中で「すき焼き」も「中心のない食べ物」と書いている。フランス料理だとアントレ(前菜)とメインがあり、時間的にも空間的にも中心にある。鍋料理は食材を自由に入れて好きな順番で食べることができるし、具材がなくなっても追加して時間を継続でき、終わりがない。(ほぼ引用、一部変えた)
私はここで、ロラン•バルトに反論したい。すき焼きには、中心がある。牛肉だ。今日食べたすき焼きでは、アントルコートである。そして、炙る程度しか火を通さないよう神経を集中して、牛肉に牛肉に集中して食べている。肉が王様で肉を食べている。肉のないすき焼きなんて...。
そして、終わりはある。シメ(締め)は大事だ。日本の鍋では絶対シメがある。ちり鍋ならご飯を入れておじやかうどん。すき焼きには、私は今回は焼きそばを入れた。うどんもいい。
すき焼きには、中心も終わりもあるのだ。
今日の投稿777投稿目。うわーっ、ラッキー。宝くじ買うか。
2021年すき焼きを作ったときのブログ